友情遊戯 #2
けたたましいサイレン音と共に、救急車が『
それから一分も経たずに、もう一台の救急車が到着した。こちらに乗っていたのは、叶と玲奈だった。先に来た救急車が走り去るのを横目で見ながら、叶がぼやいた。
「何で同じ病院なんだよ?」
「しょーがないじゃん、他に受け入れてくれる所が無いってんだからさ」
応える玲奈と救急隊員に
「では、こちらで少々お待ちください」
叶に
「すみません、お話聞かせてください」
笑顔の看護師に、叶が首に手を当てがったまま愛想笑いすると、スマートフォンに目を落としながら玲奈が小声で言った。
「アニキ鼻の下伸びてる」
「黙れ、オマエここ病院だぞ、スマホやめろ」
叶の注意に、玲奈は無言で舌を出して応じた。軽く舌打ちしてから、叶は看護師の質問に答え始めた。
「ねぇ~まだぁ?」
玲奈も待つ事に倦み始めた頃、『救急外来』と書かれた扉が横にスライドし、中から先程とは別の看護師が顔を出して、叶に視線を向けて告げた。
「お待たせしました、中へお入りください」
「やっとか、待ちくたびれたぜ」
叶が小声で悪態を吐きながら立ち上がると、玲奈は顔をスマートフォンに向けたままおざなりに手を振った。
「行ってらっしゃ~い」
溜息混じりに中に入り、看護師に促されるまま俯き加減で丸椅子に腰を下ろした叶に、男の声が質問した。
「叶友也……って、お前、元プロボクサーのあの叶か?」
「え?」
叶が
「おぉ~やっぱり! 俺だよ、
「川上ィ?」
突如違う
「あぁ! 小五の時に転校した川上か!」
「そぉーだよぉ、久しぶりだなぁおい!」
周囲の看護師達が
《続く》
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