友情遊戯 #1
愛車バンデン・プラ プリンセス一三〇〇の運転席で、
「ねぇ~まだぁ? お
視線をスマートフォンに固定したまま、玲奈が文句をたれる。叶は顔を
「うるっせぇな、オマエちゃんと座れよ! 危ねぇだろ」
「ええ~だってぇ、つまんなかったんだもぉん」
玲奈はシートの上で身をよじりながら尚も文句を言う。叶が
「仕方ねぇだろ、ボクシングの試合が全部スカッとKOで決まる訳ねぇんだからよ」
「判ってるけどぉ~」
今日、叶と玲奈はプロボクシングを観戦しに『格闘技の聖地』と呼ばれるホールへ行っていた。所属する『
「ねぇ早くぅ~、
「だからうるせぇっての、ちょっと黙ってろ」
風さんとは、郊外で『レストラン&バー WINDY』を経営する
先の信号機が、黄色から赤に変わった。叶は
「うぉわっ!」
「きゃあぁっ!」
ふたりの悲鳴が同時に車内に
「何だ、っ痛!」
後ろを振り返ろうとした叶の首に激痛が走った。反射的に首に手を当てがいつつゆっくり顔を後ろに向けると、リアガラスに数本の亀裂が入り、その外に
「もぉ何なのよ急にぃ~! あぁ痛かった」
「大丈夫か?」
おざなりに玲奈の安否を確認して、叶はシートベルトを外して車外へ出た。車の後ろへ回り込むと、車体側面に『(株)タニモト』と書かれた軽自動車がバンデン・プラの後部に
首の痛みに顔をしかめながら叶が運転席を
「うわ、何これ
後から来た玲奈が、
「玲奈、救急車」
《続く》
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