おとうと #23
突然、目の前で土下座されて呆気に取られる美緒に、義勝が額を地面にこすりつけんばかりに下げて声を張り上げた。
「今後一切、君と忍君には手を出さないと誓います! 本当に申し訳ありませんでしたぁ!」
「何あれ?」
そこへ叶が、玲奈に右手を差し出しながら応えた。
「ちょっとした警告が
その声に、玲奈は叶を見上げて目に涙を浮かべ、自力で立ち上がって叶に飛びついた。
「もぉ~怖かったぁ! 学校出たらさっきのヤツ等が先輩を取り囲もうとしたからウチが先輩をおぶって走って逃げたんだよ! もぉ何で近くに居なかったのよぉ!?」
玲奈が振るう
「悪い、ちょっと寝過ごしちゃってさ」
「何それ~! アラームくらいかけときなさいよ!」
怒りを
「あの、ありがとうございました」
「いや、怖い目に遭わせてゴメンね」
叶が謝った直後に、西条が横から割って入った。
「あのさぁ、己フリーライターの西条って言うんだけど、君に頼みがあるんだよね」
「頼み?」
目を丸くして訊き返す美緒に、西条は笑顔で告げた。
「実は、バニー服部の独占インタビューを取りたくてさ。もしこれが実現したら、とびっきりの特ダネ間違い無しなんだよね」
「オイ、よせ」
叶が止めようとするが、西条も一歩も引かない。
「ちょっと黙っててくれよな、今交渉中なんだからよ」
「何――」
西条の物言いが気に障った叶が尚も止めようと口を開きかけた所へ、美緒があっさりと応えた。
「いいですよ、正体を明かさないって約束してくれるんなら」
「マジに? やった、約束するよ」
意外な展開に叶は瞠目し、西条は手を叩いて喜んだ。
「え? いいのか?」
叶の問いに、美緒は微笑して答える。
「はい、忍の事が世間に知られなければ大丈夫ですから」
当事者の姉にそう言われると、部外者の叶にそれ以上突っ張る理由は無かった。
美緒からの許可を得て
「じゃあ美緒ちゃん、改めて連絡するから。あ、それと、また会おうぜ探偵さん、いや、ともちん!」
虚を突かれた叶に
「クソ、あのハイエナ」
遠ざかるオープンカーを見送りながら叶が悪態を吐くと、玲奈が叶を見上げて言った。
「また覚えられちゃったね、ともちん」
「うるせぇ」
吐き捨てる様に言うと、叶は玲奈と美緒を
《続く》
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます