おとうと #3
「弟、さんを?」
叶が
「弟の、
映し出されていたのは、使い込んだ柔道着に包んだ上半身をやや丸め、
「へぇ、柔道やってんだ」
軽い口調で言う叶に対して、美緒は歯切れ悪く、「ええ、一応」と応える。その反応に不審を覚えながらも、叶は質問を続ける。
「で、忍君は、いつから居なくなったの?」
「三日前、です。部活が終わる時間が過ぎても帰って来なかったので、弟のスマホに電話をかけたんですけど、出なくって……学校に連絡したらとっくに帰ったって言われて」
美緒の話を聞きながら、叶は自分のスマートフォンのメモ機能を使って要点を書きつけて行く。
「そう……て事は、学校もこの事は知ってるんだ」
「あ、いえ、学校には、具合が悪いって言ってあります。忍が帰ってない事は、私と母しか知らないんです」
「そう、ん? お父さんは?」
叶の
「それが、あの……探偵さんは、
「へ? あ、いや、柔道はそんなに詳しくなくて」
何故か照れ笑いする叶に、美緒は静かに話し始めた。
「父、服部源治郎は、かつて全日本選手権の
「肝臓、ね」
恐らく酒の飲み過ぎか何かだろうと心の中で見当をつけた叶が頷いていると、美緒が続けた。
「実は、忍と父は、上手く行ってないんです」
《続く》
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