おとうと #2
翌日の夕方、玲奈が『叶探偵事務所』に連れて来たのは、やけに肌の白い、どことなく
「初めまして、
緊張気味に自己紹介する美緒は、隣に立つ玲奈の一歳上の高校三年生の筈なのに、小柄な玲奈と大差無い
「よし、じゃあよろしくね、アニキ」
「え? オマエ一緒に居ないのか?」
虚を突かれた叶が間抜け面で見上げながら問い返すと、玲奈は呆れ顔で応えた。
「ウチこれからバイト! 知ってるでしょ!?」
「あ、そうか」
「もぉ、あ、下にコーヒー頼んどくね。先輩は、何にします?」
玲奈が口にした「下」とは、この事務所の真下にある『喫茶 カメリア』の事である。
玲奈の問いに、美緒は肩越しに振り返って答えた。
「あ、じゃあお言葉に甘えて、ミルクティーをお願いします」
「OK。じゃ、また」
微笑しつつ手を振り、玲奈は事務所を出た。その後ろ姿を見送る叶に、美緒が言った。
「仲、よろしいんですね」
「え? いやいや、生意気で困ったもんだよ」
かぶりを振った叶が、改めて名刺をテーブルに差し出しながら自己紹介をした。
「叶です。
美緒は差し出された名刺をまじまじと見てから手に取った。
「探偵さんって、私会うの初めてです」
「それで、依頼の内容なんだけど」
「あ、はい」
美緒が
「お待たせー!」
「ハーイともちん、あの小生意気なチビのオーダー通り、コーヒーとミルクティーをお持ちしましたわよ~、って、どおしたの?」
ふたりのすぐ脇まで来てやっと状況を
「ママ、じゃなくて桃ちゃんが急に入って来るから、ビックリしちゃったんだよ」
「あら! そうなの~それはごめんなさいね~」
桃子は眉毛を八の字にして謝ると、トレーからカップを下ろしてそそくさと退散した。
叶は息を吐いてから、改めて美緒の様子を伺った。
「だ、大丈夫?」
すると、美緒は胸を押さえて何度か深呼吸してから、やっと青白い顔を上げて答えた。
「は、はい、大丈夫、です」
少し
暫くの間、事務所を沈黙が支配した。その
「実は……弟を探して欲しいんです」
《続く》
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