匿う男 #2
「へぇ~、確かにそっくりだなぁ」
『叶探偵事務所』の
肩や
「何
「別に睨んでねぇよ、それより早く食えよ」
叶が言い返しながらレジ袋を指差した。少女は玄関から離れて叶の対面に座り、袋の中から
「いただきまーす」
五、六分ほど経って、叶が
「そう言や、変な奴等に追われてるって言ってたよな、何か心当たりあるのか?」
すると、少女が急に
「どうした? まさか
「違う!」
少女は強い口調で否定してから、何かを恐れる様な表情で目を泳がせ、唇を震わせて言った。
「パ、パパが……殺された」
「何?」
予想外の告白に、叶は缶コーヒーのプルタブにかけた指を止めて
「ウチが、家に帰った時……いつもはドアの
少女は言葉を切り、肩を震わせて鼻を
「そうか……で、どうすんだ?」
叶に
「オッサ、いや、探偵さん、ウチのボディガードになってくれない? それと、パパを殺したアイツ等を、捕まえて!」
「何ィ? ボディガードって、そりゃ専門外だぜ、それに、殺人なら警察の出番だろ」
「嫌だよ、ウチ、警察嫌いだもん。人の事を外見だけで判断するし、いざって時は全然頼りになんないしさ」
口を
「何がおかしいんだよ?」
「所で、オマエ名前は? これから先、何て呼んだらいいか判らんと面倒だからな」
「えっ、そ、それじゃあ?」
「ああ、オマエの依頼、引き受けてやるよ」
「やった! ありがとう。ウチは、
「玲奈か、オレは叶友也。よろしくな」
自己紹介を
「ふぅー、ごちそう様ぁ」
満足げな表情の玲奈が、袋から
「ねぇ、そっち何なの?」
「え? あぁ、そっちはオレの
「へぇ~」
玲奈は立ち上がって、パーテーションの裏を覗きに行った。叶が慌てて声をかける。
「オイ! そっちは行くな!」
「いーじゃん別にぃ、うわ、きったな」
制止を聞かずに裏側へ侵入する玲奈を止めよようと、叶がソファから腰を上げた。
「あ、コラ! 土足で入るな!」
パーテーションの裏へ消えた玲奈を追いかける叶の目の前に、玲奈が脱いだスニーカーが飛んで来た。すんでの所で頭を振ってかわした叶が顔を突き出すと、今度はライダースジャケットが
「見ないでよ!」
「はぁ?」
玲奈の声に反応して叶がジャケットを下ろしながら見ると、玲奈が服を脱ぎ始めていた。
「うわっ! オマエ何やってんだ!?」
叶が顔を引っ込めつつ
数分後、パーテーションの向こう側からの物音が止まった。叶が恐る恐る顔を覗かせると、下着姿の玲奈がベッドの上で毛布を抱き締めて寝息を立てていた。
「……仕方ねぇな」
《続く》
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