第6話

制限時間の3分間を目一杯使って出来るだけ遠くに飛んできた。

飛んでいる間に情報掲示で少女の情報を見てみた。


《エレナ・シャエリア》Lv2

体力 103/116

魔力 105/120


今の情報掲示ではここまでしか見ることが出来なかった。

情報を見ていて時間のことを忘れてしまい空中で空飛ぶ靴の効果が切れ、1度目と同じ失敗をしてしまった。咄嗟に空中で体制を整え自分が下になるようにする。


ドスンっ


「ぐぅっ」


体に壮絶な痛みが走る。骨折とまではいかないが、ヒビくらいは入っているかもしれない。すぐさまステータスを開く。


****************

《ハクヤ・クロセ》Lv3

体力 68/135

魔力 220/220

攻撃 16

防御 14

魔攻 32

魔防 31

俊敏 16

~スキル~

『魔法の箱Lv1』『空飛ぶ靴Lv1』『情報掲示Lv1』『スマッシュLv1』

~称号~

『異世界人』『奸智神の加護』『避ける者』

~魔法適正~

炎・水・雷・土・風・闇

****************


げ、今ので半分くらい体力が減っている。まぁけっこう高さあったからな。

と思い、魔法の箱からキュアの実を取り出そうとすると急に少女が口を開いた。


「はっ!だ、大丈夫ですか!?動かないでくださいね。癒し!」


少女の手に淡い光に集まる。そしてその光が俺の体に移る。すると感じていた痛みがスゥーと消えていった。


「今のは...魔法か?」


「は、はい!そ、そそそそそうです!」


俺は体を起こし少女の方を向く。


「テンパりすぎだ。少し落ち着けよ。何がどうなってさっきの状況になったのか説明してくれないか?」


少女は深呼吸して話し始めた。


「わ、私は森人族のエレナ・シャエリアと言います。冒険者になるために村を出て、冒険者登録ができるノーレスト王国に向かっていたところ、途中でノーレスト王国に仕入れに行くという商人の方にお会いしまして、ついでだからと馬車に乗せてもらったんです。私の他に何人か私と同じような人達も乗っていて...。順調に進んでいたんですが急に馬車が止まってどうしたんだろうと馬車から降りてみるとさっきの魔物がいて...。まだ気づかれていなかったんですが一緒に乗っていた男の子が攻撃して怒らせてしまって...。それでさっきの状況です。お兄さんが助けにきてくれなかったら私も死んでいました。本当にありがとうございます!」


焦っていて気づかなかったが、確かに耳が尖っている。俗に言うエルフってやつだな。


「なるほどな、まだ冒険者にもなってないのにあれに攻撃するなんて馬鹿なことを...」


少女が勢いよく手を挙げた。


「あ、あの!質問していいですか?」


「さっき何をしたのか?かな?」


「は、はい!魔物の動きが一瞬止まったように見えて、気づいたら空を飛んでて...何が何だか...」


「えっーと、まず魔物の動きが止まったのはこれのおかげだ。」


そう言って俺は魔法の箱からキノコを取り出す。


「キノコ...ですか?」


「あぁ、これはウスシビレダケといって、口に入れるとほんの少しの間だけ体を麻痺させる作用があるんだ。あいつに効くかどうかは賭けだったが、効いてくれて良かった。」


「ほぇ〜、なるほどです。」


「そして、空を飛んだのは俺のスキルだよ。飛べる時間はかなり短いけどな...。あ、それより冒険者登録ができる国に向かってる途中だって言ってたよな。俺も冒険者登録をしたいんだけどその国までの道はわかるか?」


「あ!はい、一応方角はわかっているのでそちらに進めばたどり着けるかと...あ、あの!私も一緒に行っていいですか?」


「あ、あぁ。というより一緒に来てくれないと俺がたどり着けない。」


「よ、良かったです。わかりました!私、精一杯案内させていただきます!」


「あぁ、よろしく。俺はハクヤ・クロセだ。好きなように呼んでくれ。」


「はい!わかりました!じゃハクヤさんって呼びますね!私のことはエレナって呼んで下さい!」


こうして、俺とエレナのノーレスト王国への旅が始まった。

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