第5話

角兎ホーンラビットを倒した俺は再びレベルアップの感覚を味わった。

早速ステータスと念じる。


****************

《ハクヤ・クロセ》Lv3

体力 135/135

魔力 220/220

攻撃 16

防御 14

魔攻 32

魔防 31

俊敏 16

~スキル~

『魔法の箱Lv1』『空飛ぶ靴Lv1』『情報掲示Lv1』『スマッシュLv1』

~称号~

『異世界人』『奸智神の加護』『避ける者』

~魔法適正~

炎・水・雷・土・風・闇

****************


あ、称号が増えてる。


◎避ける者

攻撃回避時にのみ、瞬発が1.5倍になる。


あ、うん、まぁ結構な数の兎の攻撃避けてたけども。なんかちょっとバカにされてる感が否めないな。


ステータスを閉じ、魔石と角を回収する。一応情報掲示で確認してみた。


◎角兎の魔石

角兎から取れる魔石。中級ポーション1つくらいの値段にはなる。


◎角兎の角

角兎のドロップアイテム。小さくて細いがとても硬く、武器や防具、アクセサリーなどの素材になる。


今日は急に色々ありすぎて疲れたな。今日はもう休もう。魔法の箱からリポンの実を2つ、キュアの実を1つ取り出して食べる。キュアの実は少し酸味があって水々しく、リポンの実とはまた違う美味さだった。体力が減っていたわけではないが、疲れが溜まっていたので食べてみたのだが、少し疲れが抜けるのを感じた。


チャッカダケで火を起こし、ローブにくるまる。明日はなにが起きるだろうか。この世界に来てから全く退屈しない。来て良かった。そう思える。ロキに感謝しつつ、俺は眠りについた。


☆☆☆☆☆


翌朝、俺は遠くで聞こえた悲鳴によって目を覚ました。


耳を澄ましてみると、どうやら人が襲われているようだ。一先ず声の聞こえる方へ向かった。


声のする方へ進み森を抜けると、視界に馬車と大きな熊が見えた。

馬車の周りは血の海になっていた。熊に気づかれないように距離をとりながら情報掲示を発動する。


鎧暴熊アーマーグリズリー》Lv18

ルータス森林の主。剣を弾くほどの硬い鎧と防具を断ち切るほどの鋭い爪を持っている。


いやいやいやいや、あれはアウトだろ。絶対今の俺が戦っちゃいけない相手だわ。

そう思いつつもまだ生きている人間がいるかどうか確かめる。


1人だけいた。俺よりちょっと下くらいの年齢の女の子が生きているようだ。逃げようとしているのだが、腰が抜けているのか立ち上がれないでいる。

どうすれば、あの熊と戦わずしてあの子を助けられるか思考を巡らせる。手持ちのアイテムと俺のスキルでできることはなんだ。考えている間にも熊と女の子の距離は縮まっていく。


これしかない。


全力で思考を巡らせ、一つの策を導き出した。

俺は近くにあった石を熊に投げつけた。石は熊の頭にあたり、熊がこちらを向く。


グァァァァア!


吠えながら突進してくる。狙い通りに突進してきてくれたことに少しニヤけながら魔法の箱からある者を取り出す。そしてそれを熊の口めがけて投げつける。


上手く口の中に入った。熊の手足が動かなくなり、勢いのせいで前のめりに倒れこんだ。

俺はその隙に熊の横を全速力で突っ切り、女の子の元へ向かう。

熊は5秒ほど経って動きを取り戻し、こちらへ向き直るが、それだけあれば充分たどり着ける。

俺は何が起きたのかわからず目を見開いている女の子を抱え、スキルの名を叫ぶ。


「空飛ぶフライングシューズ!!!」


こうして俺らは空を飛び、なんとか森林の主から逃げ切ることに成功した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る