第3話

情報掲示を発動しながら周囲を見渡し、使えそうなものがあったら魔法の箱にしまっていく。


今の所見つけたアイテムがこれらだ。


◎リトフク草

食べると体力をほんの少し回復してくれる。低級ポーションの素材になる。


◎ランドル草

食べると眠気が襲ってきて睡眠状態に陥る。睡眠薬の素材になる。


◎ウスシビレダケ

口に入れると麻痺状態に陥る。しかしすぐに治る。


◎チャッカダケ

ある程度の衝撃を与えると燃え始めるキノコ。火種として使われるが鞄の中で燃えないように注意が必要。


◎リポンの実

甘くてシャクシャクとした食感がする果実。ジャムなどの素材にもなるがそのままでも美味しい。


情報掲示はいざ使ってみると、レベル1でも充分なほどの情報を見ることができた。これがなければ異世界生活1日目で変なもの食って天に召されているところだった。危ない危ない。ありがたやロキ様。


魔法の箱は本当にどんどんなんでも入るようで、箱内にあるうちはチャッカダケも燃える心配はなさそうだった。


空飛ぶ靴も使ってみたが、3分経つと急に効果が切れるため、1度目に使った時に結構な高さから落ちてかなり痛かった。時間を気にしながら使わないと大怪我しかねない。気をつけよう。


スキルの確認が終わり、探索に一息つこうとしたところ、日が落ち始めているのに気がついた。何時間経ったのかはわからないが、思ったよりたくさんのアイテムを集めることができた。異世界生活1日目の成果を確認する。

リトフク草6束

ランドル草3束

ウスシビレダケ2つ

チャッカダケ3つ

リポンの実11個

草やキノコは単体で生えていることが多く、あまり取れなかったが、リポンの実は一つの木にたくさんついていたので一気に集めることができた。


リポンの実は一つの大きさがミカンほどで味は桃のようで、くせになる食感だった。これを2つ食べた。数を決めないと全部食べてしまいそうなくらい食べやすかった。


枯れ木を集めてきてチャッカダケで火をつける。しばらくは野宿なのでチャッカダケはなるべく集めておいたほうが良さそうだな。


それにしてもいまだに魔物っぽいのと会わないけど...

まぁ今出てこられても魔法の使い方わからんし、杖で殴って倒すか逃げるかしかできないけどな。早いとこ魔法の使い方探さないと魔物も倒せない...


そんなことを考えながら俺はローブにくるまり眠りについた。


翌朝目覚めると昨日は探索に熱中してて気づかなかったことに気がついた。

なんと...太陽が...

ドーナツ型だった...

ここは異世界なんだということを改めて実感し、探索を始めた。


新しいアイテムも見つかることはなく、探索に開きかけていたその時、

俺は見つけた。マンガやゲームで何度も見たことのあるあいつを...

色は多少違うが、おそらくあれはあいつだ。丸くてプヨプヨとして経験値の少ないあいつだ。

そう。スライムである。


初めての魔物に興奮し、駆け寄ろうとして気付いた。あ、俺魔法使えない。どうやって戦おう。と。

だがそう思ったのは一瞬だけだった。とりあえず杖で殴ってみて、効いてなさそうだったら空飛んで逃げればいいんじゃね?と思い直した。

よしやってみよう。そう決意し、俺は一歩を踏み出した。


「うおぉぉお!」


スライムが突然の大声にビクッとした。その隙を突いて杖を叩きつける。

どうだ!とスライムの方を見る。するとスライムは消えていた。


「え...」


まさか避けられたのか?と思い杖を再び構える。

が、その考えはすぐになくなった。

スライムのいたところに小さな黒い石があったのだ。あ、これはまさか...と思いすぐさま情報掲示を発動する。

するとそこにはこう記されていた。


◎スライムの魔石

スライムから取れる魔石。純度が低く、値段も安い。


「スライム弱すぎるだろおぉぉ!」


広大な森に心の叫びが響いた。




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