終章 いつかまた、この小さな庭で⑲ ラストケーキ 後編

「ちゅっ……。くぷぅ、ぢゅぽぁ♪」


 日曜午後の、百合メイド喫茶「リトル・ガーデン」で。

 どのような行為が行われたか、詳細に描写すると、怒られる可能性。


「ちゅぱっ♪ くぷぅ、ふぁぁぁ……♪」


「じゅぷっ……れろぉ。れろ、るぷぁ……ふぅっ、んきゅ♪」


 ミルクたっぷり使った生クリームを、ピンクの唇が舐めて……そこへ、他の女の子の舌が。

 そんな、よくあるケーキの食べ方。


「ちゅぅぅっ……♪」


 ※ ※ ※


「いやーお腹いっぱいだぁ! こんなにケーキを堪能したの、クリスマス以来かも♪」


 カラダに塗った生クリームは舐め取られ、替わりに今は唾液でべっとり。

 茶髪ショートの百合メイド、りりなが、「いい汗かいた!」的に爽やかな笑顔を浮かべた。


「……とりあえず。服、着なさいってば」


 「リトル・ガーデン」名物乙女ケーキでぐちゃぐちゃな、百合メイド仲間たちの姿に、由理ゆーりが赤くなりながらジト目だ。


「ふぁ……♪ で、でも私、満足よ♪」


 濡れたタオルでカラダを拭き拭き、メイド服に着替えながら、リズさんは言う。

 かなりえっちなコトをされたのに、天使の羽根を舞わせてにこっと微笑む、金髪巨乳メイド……つまり女神。


 唇に残った白いクリームをぺろっと舐めて、うっとりする。


「愛されるのがわかって、嬉しいの。こんな愛情たっぷりの食べ方、他に無いわよね♪」


 喜びに悶えて、金髪縦ロールを振るリズさん可愛い。

 由理はつい、きゅんときて、


「へ、へー。そうなんだ、リズさん、こういうの……好きなんだ」


 以下、こんな妄想を……。


(ふふ、裸のリズさん美味しそう。私、狼になっちゃおうかな。ベッドの上で)


(やぁん、私……由理に食べられちゃう♪ ベッドの上で!)


「のぁぁぁぁ!? してないしてない、えっちな妄想なんてしてないからぁぁ!?」


 頭をぶんぶん振って、肌色で桃色な妄想を追い出す。


「? どうしたの、由理」


 リズさんに顔を覗き込まれて、由理は顔から蒸気を噴き出した。


「べ、別に、なんでもないのっ。えっちなことは、いけないと思います!?」


 美緒奈みおな季紗きさは、ちょっぴりムッとしてた。


「……なんか由理がデレてるよ、季紗ねえ


「ねー、あれは、リズさんでいやらしい妄想してる顔だね!」


「そこ、うっさい!?」


 わずかに微妙な空気が流れたところで、すかさず宮野りりなが宣言した。


「えっちは悪じゃありませんよ、由理先輩っ! もちろん百合に限るけどっ」


 ちなみに女体盛りケーキを拭いて、まだ下着だけの恰好。

 百合エロスの善性をまだまだ認めない由理へ、力強く語った。下着姿で。


「百合は愛のパワー! 愛なんですっ。愛する人ともっとキスしたい、もっと繋がりたい……それは、人間誰でも持ってる、純粋ピュアな心だと思うんですよね、私!」


 茶髪でショート、スレンダー美少女りりな。

 百合キスをまるで、魔法の力と確信するみたいに、自信たっぷりに胸を張って。


「女の子同士でもえっちしたい……そう願うのは、ピュアピュアで清い心ですっ。だって、それだけ好きってことだもの!」


 そして頬をぽっと染めて。


「ちなみに私は全宇宙の女の子に愛を注いでるので。由理先輩ともキスしたいし、欲情もしてますよ♪ ……ちゅっ♪」


「ちゅぷぅ!? にゅるっ!」


 りりな、由理へ舌を挿れたので。

 恋人の早百合(下着姿)が後ろから抱き付き、カラダを愛撫するえっちなお仕置き。


「ふふ、りりなったら正直♪ でも一番は私よね? 浮気は刺しちゃうゾ♪」


「もちろんだよ早百合ー♪ 私の今までも、未来も、ぜんぶ早百合のものなんだから。……ちゅぅぅぅー♪」


「な、なんか、まるで結婚するみたいな言い方ね。女の子同士で」


 ハートマークを飛ばしながら、ちゅっちゅちゅっちゅ熱々百合接吻ベーゼを始めたりりな&早百合に、圧倒されながら。

 由理は、ちらりとリズさんを見た。


(い、いいのかな。私も、この2人みたいに、素直になって……)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る