終章 いつかまた、この小さな庭で⑳ さよならは、言わない。のでキスします。 -季紗へー

「ちゅっ……♪」


 ……さて、宴もたけなわ。

 もうすぐ日が暮れる。


 百合メイド喫茶「リトル・ガーデン」でのリズさん送別会……皆でリズにキスする会も、あとはいつもの彼女たちの分を、残すのみとなった。


「ちゅぱっ。んーむっ、るぷ。ちゅぅ、ちゅぅぅ……ふぅん♪」


 まずは季紗きさを、リズさんが抱き締めて、舌を絡ませ合う。


「ちゅぅぅっ♪ ぶちゅ、ぬぷん。ぐぷ、ずぷぁ♪ ふ……んむぅぅ……♪」


「るぶっ、ぬーふ。ぬ……ぷちゅぅ♪ ふー、ちゅふぅっ♪」


 金髪巨乳メイドのリズ、季紗の唇を吸いながら、思う。


(私、季紗と出会えて良かった)


 東宮ひがしみや季紗。

 亜麻色がかった長い髪と、星降る睫毛まつげが麗しい、見るからに清純容姿なお嬢様。

 歩くだけで花が咲くような、天使な美貌に……ピンクな妄想を住まわせたエロ百合乙女。


「ちゅぷぁ♪ く、ふぅぅっ♪ んっぱ、ちゅぱぁん♪」


 今も、メイド服に包まれた、いい匂いなカラダを、リズへ擦り付けるみたいに抱き付いて来ながら。

 嬉しそうに、唾液をぢゅぱぢゅぱしている。


「ちゅぅっ♪ ぬくぅ、ふ……ぅぅっん♪」


「ぢゅぷ♪ ぢゅぷ♪ ぢゅぷ♪」


 でも、そんなエッチな季紗が、大好き。


(いっぱいキスしたわよね、私たち。口移しの試食に、歯磨きチェックに、日々のあいさつに。キスするのが当たり前過ぎて、しない日なんて想像できないくらいに)


 出会ったのは、リズが来日してすぐ。季紗が中学3年の時。

 お店で、初対面からすぐにディープキスをして。

 それから毎日、唇を求めあった。


「……ちゅっ♪」


 胸を愛撫したり、お尻を愛撫したり、くんかくんかし合ったり……。

 石鹸でぬるぬるしながら肌と肌とで洗う、日本のお風呂の作法を教えてももらった。


(季紗との記憶はえっちなことばかりだけど。……でも、すごく楽しかった)


 ええ、ぜんぶ素敵な想い出。

 この唇を、桃みたいに甘い唾液を……百合キスの味を、忘れない。


「ちゅぱぁ……んっ」


 深くキスしながら、季紗の口の奥まで舌を挿入すると、彼女も切ない声を上げた。

 淫猥に濡れた視線が交差して……今までの想い出が、走馬燈みたいに脳裏を駆けて。


「リズさん。大好きだよ」


 そんな言葉の替わりに、季紗も深く、舌を挿入し返してきた。


「ぢゅぽぁん♪ ちゅ、ちゅーっ♪ ちゅぱぁ、ぢゅぱぁ♪」


「ぐぷぅん♪ ふぁっ、ふぅぅっ♪ るちゅ、ずちゅぅ♪ ……ふ、くぅ。くっ、んむー♪」


 こんな激しい百合接吻ベーゼが、2人のコミュニケーション。


 そう、お別れの言葉なんて、いらない。

 ありがとうの気持ちも、本当は離れがたい寂しさも、いつか再会の約束も……伝えたい言葉、届けたい想いは多すぎて。

 ……だから替わりに、百合キスをした。


「ちゅっ……♪」


 大好きを、ありがとうを、またねを伝える最強手段。

 ありったけのLOVEを唇に乗せて。


「ちゅぷぅぅぅ……っ♪」


 由理ゆーり美緒奈みおながちょっぴりジェラシーしちゃうくらい、濃厚な口づけを、リズと季紗は交わした。


 ……そして。


「んぷぅ……」


 ずっと唇を離さないまま、呼吸もお互いの肺の空気をひたすら交換し合って。

 息が苦しくなっても構わず、唇からカラダ中が溶け合って一つになるくらい、唇を重ねた2人。


 見つめ合う。


「……ふぅっ。んふぅ……」


「くぅっ……、んっ、ふぅ、ふぅ……ん」


 この唇を離さない。

 離したら、この人の魂ごと離してしまう気がするから。……なんて、名作ゲームのキャッチコピーみたいな、いいえ、本当にそれくらいに、繋がり合ってきた2人が。

 ようやく、唇を離す。


「ぷはっ……」


 極太の唾液の橋が、とろーん、ぢゅぱ……と垂れては揺れる。

 引き合うように、別れを惜しむ内心を象徴するみたいに……季紗とリズの唇の間を、ゆらゆらと。

 季紗が、泣きそうな顔をした。


 だから。


「ちゅっ……!」


 糸は、切れないよと。

 リズはもう一度、季紗へ、唇を重ねた。


「ちゅぅぅっ♪」


「んっ……♪ ふ、ちゅぅぅ……♪」


 ……さて、次は美緒奈の番。

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