「リズ=ノースフィールド」編④ 隠せない胸の内
お次は
やって来たのは、池袋の定番デートスポット、サンシャイン水族館である。
「ふふ、知ってますリズさん? このお魚さんはですね、卵を3億個も産むんですって」
「……『私たちもいっぱい子作りしたいですね♪』とか言うんでしょ、季紗のことだから」
とぼけた顔のマンボウの水槽前で、羞じらいつつジト目を送るリズさん。
季紗はぽっと頬を染めて、
「ふふっ、さすがリズさん分かってる♪ 今日はいっぱいお魚の生殖方法とか、生殖方法とか、生殖方法を勉強しましょうっ!」
「うわーんこの子ホントに変態さんよぉぉ!?」
リズさんに抱き付き頬擦りしながら、瞳をキラキラさせる季紗……その言動は、アイドル級の清純美少女でなければ逮捕されてるレベル。
ふと季紗、真面目な顔で考え込む。
「……お魚にも、レズっているのかな?」
「そこはどうでもいいわ私……」
※ ※ ※
美緒奈と違ってデートスポットらしいデートスポットなので……二人とっても百合ップルらしく、イルカやペンギンを見てキャッキャと楽しく笑い合った。
そして水族館なので、照明を抑えた暗い所もあって……。
「……これはもう、キスしないとですね、リズさん♪」
「でも……は、恥ずかしいわ」
揺れる水の蒼が照らす、水族館の中。
幻想的なロケーションに、キスしたい気分は高まるけれど。
「や、やっぱりお店の外は恥ずかしい……。皆、見てるし」
季紗とリズ、とびきりの美少女二人が腕を組んで横乳をくっ付けて歩いてるのだから、周囲の視線を集めるのもやむ無し。
「だめですか? 私、ロマンティックな気分で……リズさんに舌挿れたくてたまらないんです」
「それロマンティックなの!?」
デートを満喫したせいか、ときめきが暴走しちゃいそうな季紗。
唇を近づけて来るので、リズさん照れる。
「も、もう、困るわ……季紗ったら」
「……困らせたいし、困らせてほしいの」
真剣な声色が、リズをドキリとさせる。
「季紗……?」
リズの豊かな胸に顔を埋めて、表情を隠しながら、季紗は言った。
「私ね……本音は、リズさんがイギリスに行っちゃうの嫌。だって、貴女に会ってから……私たち、キスしなかった日なんてほとんど無いんだよ?」
……胸に埋もれて、表情は見えないけれど。
季紗の細い肩が微かに震える様は、嗚咽しているようで……。
「……リズさんの唇が無かったら、私、どうにかなっちゃうよ」
上げた顔は、やっぱり泣いていた。
「ね、リズさん。せめて……私に壊れちゃうくらい百合キスして……思い出を、ください」
ぎゅうっと、痛いくらい指を絡めながら。
「もう……今日は、私の思い出作りじゃなかったかしら?」
リズは青い瞳を柔らかく微笑ませ、唇を重ねた。
「んふ……ちゅぷ。ちゅぶ、ちゅぶ……ん、ずぷん! ぐぽぁ、ふちゅうぅぅ……っ!」
「んーむっ、ぢゅぱ、ぢゅぱぁ。ずぶりゅ、ぬるぬりゅ……るぷん! ぢゅぅー、ぢゅるぅぅ!」
お互いに百合メイドとして、今まで誰よりいっぱい、キスしてきた仲。
そんな二人がありったけの気持ちを込めてする百合キスは……すんごくディープで、卑猥なのに美しかった。
「ぢゅばっ♪ ぢゅるるぅ……ずぶ、ぢゅぼっ♪ んんっ、ぐぷっ、ぐぶる♪ ふぅっ、ふー……っ♪」
「ぢゅちゅっ、ぬぷぅ♪ ぷぁ、はぁ、はーっ♪ るぱ、りゅぱぁ♪ んーぶ、ぢゅぶりゅん♪」
水族館の蒼い照明に抱かれて。
海底でするみたいな口づけは、百合乙女二人を快楽の海に溺れさせるのだった。
「ママー、あのお姉ちゃんたち、なんでちゅっちゅしてるの?」
「しっ! ……そっとしといてあげましょ?」
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