冬コミ会場より、百合を込めて。
12月29日、早朝。
全国のオタクたちにとって、今年最後の、そして最大の祭りが始まる……。
「ちょ、ちょっと
冬の風が冷たい、広い広い駐車場にて。
南極のペンギンさんみたいに皆で寄り合って、寒さに耐える人々が数千人。
コンクリートにタオルを敷いて、隣にちょこんと座るゴスロリ美緒奈……ぐいぐい肩を寄せてくる美緒奈のカラダから、ほんのり石鹸の薫り。
その甘い薫りと温もりにドキドキしつつ、
「さ、寒いんだから、しょうがねーだろっ。美緒奈様が風邪引いたら、あんた責任取れんの?」
「せ、責任て……」
いつか風邪を引いた時、皆にえっちな看病をされたのを、由理は思い出し赤くなる。
ここは、東京ビッグサイト。日本最大の展示会場にて今日から開かれるのが、コミックマーケット……通称コミケである。
「にへへ、百合同人誌いっぱい買うぞー♪」
寒空の下でもホットに顔をデレデレ緩ませる美緒奈に、由理は、
「あんたが、デートしたいって言うから来たら……夏にも来たこれだったのね」
呆れてため息をつくのだった。
世界一の同人誌即売会、コミケ。3日間で50万人以上が集まる超大規模イベントの、今は開場待ち待機列の中に、二人はいた。
「寒いから、寒さのせいだからっ!」とベタベタくっついてくる美緒奈を、由理が引き剥がそうとすると。
「こ、恋人同士だろぉぉっ、あたしたち! くっついて悪いのかよ!?」
「ば、ばか美緒奈! こんな大声でぇぇ!?」
周りの皆さんから注目を集めて、二人羞じらい小さくなるのでした。
……しばらく黙って、お互いの胸の鼓動に耳を澄ませていると。
美緒奈が小声で、耳元に囁いてくる。
「……ねえ。寒いから、キスしてよ」
「ば、ばか。こんな……いっぱい人のいるところで」
ひそひそ囁き返しながら、照れる由理。
瞳を潤ませる美緒奈の、八重歯可愛い顔が近くて、困る。
「……へーきだよ。皆、カタログチェックに夢中だし。あたしたちがキスしてても、バレないってば」
赤毛ツインテールのロリ顔を真っ赤にしながら伏せて、由理の服の裾を引っ張り、接吻(くちづけ)をねだる美緒奈……。
そのいじらしさに由理は、ついキュンとしながら、デレた。
「し、しかたないわねっ。これは暖まるため。暖まるためなんだからねっ」
……そして、場内の地図のプリントを顔の前に掲げながら。
行列の中、二人隠れてキスをした。
「ちゅっ……んむっ。ふ……、んん。ちゅ、ちゅ……♪ ちゅぷ、ちゅくぅ……ふ。ん、美緒奈……♪」
「ちゅぶ、むぅ……♪ んっ、ずちゅ……♪ くぷっ、んぐぶ。ふぅ、ちゅーっ♪」
熱い銀糸を舐めとりながら、夢中で唇を重ねる。
「んっ、由理ぃ……♪ もっと、暖めて……♪」
……冬コミ会場の皆さまへ。
もし、あなたの隣にイチャイチャ肩を寄せ合ってる女の子がいたら、彼女たちは百合メイドかもしれません。
ちゅっちゅちゅっちゅ愛を確かめてるのを見たら、そっと祝福しながら、見守ってあげて下さいな?
「ちゅぅ、れぷっ♪ んぷ、んぷぅ。ふぅっ、ちゅぅ……んん♪」
「ちゅぱっ、ちゅぱぁっ♪ ……ほらぁ、ちゃんとデート、だろ♪」
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