断章 ~栗の食べ頃ですね~

 秋。

 いろんなくだものが美味しい季節です。


「今週は題して『マロンちゃんフェア』。クリを使ったスイーツをメインにしようと思うの」


 金髪巨乳メイドのリズ料理長が、にこっと微笑む。

 百合メイド喫茶「リトル・ガーデン」、秋の新作お菓子準備開始。


 濃密な甘味のマロンクリームを使った、モンブランにマロンパイ……大地の恵み、栗を使った、美味しい美味しいお菓子をいっぱい試作する。


店主マスターが良い栗を仕入れてくれたの。まずは、皆で栗の皮剥きしましょうか?」

「はーい♪」


 季紗きさ美緒奈みおな由理ゆーり……いつもの百合メイド4人で、台所にて栗の皮剥き。

 熟した栗を一つ一つ、丁寧に皮を取り、剥いてボールに入れていく。

 この後潰してクリームにしたり、焼いてみたり、甘く煮込んでみたり……色々試す予定だ。


 乙女達が和気あいあいとお菓子作り……の準備で皮剥きする、楽しい空間。

 時々指に着いた栗を舐め合ったり、着いてないけど唇を吸い合ったり。


「……ちゅっ♪ んぷ。ふふ、百合キスしながらの料理は楽しいわね♪」

「リズさん、今は栗の皮剥きだから良いけどさ……。包丁持ったら百合キスだめだよ?」


 美緒奈に季紗とちゅっちゅし合うリズさんへ、由理が指摘。

 和やかに皮剥き作業は続く。


 と、清楚系お嬢様メイドの季紗が、おずおずと。

 栗の皮を剥きながら、なぜか頬を赤く染めて……。


「あの……。思ったのだけど」

「どしたの、季紗?」


 栗の皮をぺりっと剥く手は休めず、由理が聞くと、季紗はきゃっ♪とますます赤くなって。


「クリの皮を剥くって……なんかえっちだよね♪」

「……」


 純情女子高生である由理達、一瞬季紗のいうコトが理解できず……。

 気付いて、真っ赤になった。


「ば、ば、ばかぁっ!? なに、エロいこと考えてんのよ季紗のばかぁ!?」

「下ネタぁ! 季紗姉、それ下ネタだからぁ!?」

「き、季紗ちゃん……。私もそれはさすがに……ちょっとひく……」

「え? え? 大ブーイング!?」


 みんなに怒られて季紗涙目。


「だ、だって、だってぇ! 思いついちゃったんだもん!? 栗と……その、女の子のクリが……!」

「解説するなぁぁ!?」


 説明すると、東宮ひがしみや季紗きさは可憐な容姿に反してエロ乙女なので、えっちなことばかり考えているのだ!

 ……え? この解説いらない……?


「ううぅ、ごめんなさい……。えっちな私でごめんなさい。ここはぜひ、私、東宮ひがしみや季紗のイケない唇を、みんなでキスして塞いでほしいな♪」

「もうっ、季紗ちゃんにはしゃべらせないんだから。……ちゅぷぅぅぅぅ♪」


 まずはリズから、季紗がこれ以上危険なことを口走らないよう、接吻でお口にチャックさせた。

 リズが息苦しくなったら美緒奈が交代。


「季紗姉は美人なのに変態過ぎだよな! 反省しろよな?」


 ちゅぷぅ。るちゅぅぅ……。


「んくぅ♪ んむぅ、んんむぅー♪ ずぷ、ぬぷる……♪」


 唇を塞がれ発言を封じられてるのに、季紗はとっても嬉しそうだ。

 美緒奈も季紗に舌を挿れ返され、呼吸困難でギブアップすると。

 季紗が期待の眼で、由理を見てくる。


「はぁ……はぁ……♪ ほら、由理も♪ キスで塞いでくれないと、私の口はまたイケないことを口走っちゃうぞ♪ クリ剥き、由理とクリ剥きしたいよ♪」

「だ、黙りなさい、このエロ乙女! もうっ……ちゅぅぅぅぅ」

「んぷぅぅ♪ ん、ふぁ……ちゅぬ、るぷぅぅぅ……♪」


 ……今日も百合メイド喫茶「リトル・ガーデン」は、くだものでいっぱいです。

  


《注意》

 今回の「クリ剥きって~」の台詞は、作者が職場で、女性が発言してるのをホントに聞いた……実話ベースです。

 つまり……。

 作者がえっちなわけじゃないんだからね!?

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