ネコ舌のお嬢さまへ。

 季節は秋。

 東京もめっきり涼しくなってまいりました。


 百合メイド喫茶「リトル・ガーデン」でも、熱い珈琲や紅茶を注文するお嬢様が夏より増えてきて。


「というわけで今日は、『ホット珈琲で火傷した猫舌お嬢様の舌を、百合キスで癒す練習』よ♪ みんな、2人一組になって?」


 バイトリーダーである金髪縦ロールの巨乳メイド、リズが指示する。


 由理ゆーりのお相手は季紗きさ。亜麻色めいた麗しのロングヘアーをさらっとかき上げ、深みのある夜空色の瞳を潤ませながら、


「ちゅぅ、ふ、んんっ……。ぷちゅ、れるぅ。れぷっ、れぷぅ……♪」


 由理の舌に、艶めかしく舌を絡めてくる。


「んぷぷ、じゅるぅ……。ふっ、ふぅっ……! んく、んずぷっ♪」

「ふぁ、んぐぅ……♪ き、季紗、舌、挿れ過ぎぃぃ……!?」


 メイド服で抱き合って。

 桃のように甘い季紗の薫りを嗅ぎながら、唇をたっぷり吸われる由理。

 脳髄が、濃厚スイートな季紗の美味に、痺れてくる。


「ふぅ、んむぅ……。んぐぅ、ちゅぷぅ……♪ こ、こんな練習、ホントに役に立つのっ?」

「ちゅぷっ、るぷ、るちゅぷぅ……♪ ふふ、もっちろん♪」


 唾液で濡れた舌を、口腔へずぶずぶされながら、由理。


「んぷぅ。季紗はキスしたいだけだからなぁ……」


 舌を火傷した女の子に、百合キスして治療……「リトル・ガーデン」の外では聞いたこともない。

 みんな、こんな「練習」を真面目にやってるの?……と周りを見てみるが。


「ちゅぷっ♪ ちゅっ、ちゅちゅっ♪ ちゅっぷ、ちゅぽぷぅ♪」


 金髪メイドのリズ、年下の赤毛ツインテールなメイドの美緒奈みおなを、豊かな胸に抱きしめながら夢中で百合キス。


「ん……ふぅ。ふ、ふぁ……♪ リズ姉ったら、これ好きだよねー♪」

「ん、だってぇ……。深いキスが、好きなのぉ……♪」


 ちゅーっ、ちゅぅーっと大きな音を立てて吸引。

 飢えた蝶々ちょうちょが花の蜜を吸うような美しい……フレンチキス。


「……すっご」


 自分もすっごくキスされてる最中ながら、リズと美緒奈の過激な接吻ベーゼに赤くなる由理。

 でも、数組いる非常勤メイドの中には、もっと熱々な少女達も……。


「ふふ、りりなったら。こっちのお口は、火傷しそうよ♪」

「ふぁ! んむ、くぅっ……♪ ぅあぁぁぁ……っ♪ だ、だって早百合の指がぁ、んんっ♪ 気持ち良すぎてぇ……♪」


 美緒奈のクラスメートでもある高校1年生のメイドコンビ、栗色ショートカットの宮野りりなと、黒髪和風美少女ながらリズに次ぐ巨乳の、早乙女さおとめ早百合さゆり

 唇を捕食し合う2人……早乙女さんの指が、宮野さんのスカートの下に潜り込んでいるけど……由理としては見なかったことにしたい。


「あれ絶対、火傷の治療じゃないよね……」


「ずぶっ、ずぷるぅ♪ ふふ、じゃあ、こっちも、ペロペロして鎮めてほしい……?」

「ふにゃぁぁ♪ は、はいっ、早百合、お姉さまぁ♪ りりな、熱くて火傷しちゃうぅぅ……♪」


 以下自主規制……!


「ぜぇったい、火傷の治療になってなぁぁぁい!!」


 むしろ熱くなってるじゃんかー!と真っ当な疑問を抱く由理だが、その声は季紗のキスで塞がれた。


「んむぅ!?」

「もうっ、他の子は見ないで、今は……私だけを見て?」


 世の男性なら99%墜ちるレベルの可愛らしい羞じらい顔で、見つめてくる季紗に。

 思わず由理、ドキッと。もっと、キスされたい、なんて。


「う、うん。練習だものね、これは。集中、しないと……だよね?」

「ふふっ、そうだよー。きっと、役に立つんだから♪」


 ホントかなー、と疑いつつも。

 季紗の愛撫に、身を委ねちゃう由理は……もう、立派な百合乙女です。


「ちゅぷ、んん……。ふぅっ、っくぅ……♪」


 ※ ※ ※


 そして、その日の営業中。

 常連客の一人、季紗の家のメイドさんで見た目は雪の妖精な合法ロリ(19歳)、上代かみしろふぶきさん。


「季紗お嬢様ぁ、ふぶき、舌を火傷しちゃいましたぁ……♪」


 北欧の血が入った髪も肌も白い少女なので……たしかに珈琲で溶けそう。


「ふふっ、ふぶきさん猫舌だもんね。……じゃあ、いつも通り♪」


 ちゅぷっ♪ ちゅぷちゅぷぅ♪

 さっそく実践がスタート。


 それを見てスーツ姿なOLのお姉さん、眼をキラキラさせて。


「み、美緒奈ちゃん! 私も! 私も火傷、しちゃったかも♪」

「うんっ、美緒奈がお姉ちゃんの舌、舐めてあげる♪ ……ちゅぷぅ♪」


「……ホントにみんなやってる」


 改めて「リトル・ガーデン」の奥深さを実感する由理。

 最近常連客になった中学生のお嬢様、前園まえぞの円美まるみに、メイド服の袖をくいくいされて。


「由理お姉さま……。私も、あれ、してほしいです……♪」


 潤んだ瞳で、上目遣いに見上げられては、百合メイドとしては断れず。


「もうっ、お嬢様まで、猫舌なんですか……♪」


 甘い口づけを交わしながら。

 ネコな舌を、ペロペロと舐めてあげるのだった。


「んっ……♪ やっぱり熱くて……かえって火傷しちゃう……♪」

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