心が洗われるお仕事。

「きゃっ!? ぬるってするぅ……」


 金髪巨乳メイドリズさんの顔に、白い液体が掛かった。


「うぉう、リズねえったら胸にも掛かって、なんだかエロいよ?」


 そういう赤毛ツインテールメイド……美緒奈みおなのロリ顔にも、鼻先から唇、あごにまで、どろっと白濁した泡が……。


「石鹸、眼に入ると痛いよ。ちゃんと拭いときなさいって」


 タオルで美緒奈の顔を拭いてあげる由理ゆーり、お姉さんみたい。

 白い液は、石鹸の泡でした。


 今日の4人は、メイド服着用でお風呂掃除。

 百合メイド喫茶「リトル・ガーデン」のお風呂は、新たに始めた雨の日サービスで大人気。

 裸の美少女メイドが頭にだけヘッドドレスを付けて、背中を流してくれる……そんな百合色ドリー夢空間になっているのだ。


「お嬢様方に安心してお使いいただくためにも、ぴっかぴかにしておかないとね、みんな?」

「おっけー、リズ姉。あたし達も百合キスで使うお風呂だもんね♪」


 営業前、皆でお風呂掃除。

 濡れないようメイド服の袖をまくってタイルを洗う由理、唐突に噴き出す。


「……ふふっ」

「どしたの、由理?」


 顔を覗きこむ美緒奈へ、微笑みながら、


「うん、みんなでお掃除なんてさ……なんか久しぶりに、メイドらしいお仕事だなって」

「ふふ、そうね」


 リズと美緒奈が笑い、また掃除に戻る。

 仲睦まじく微笑み合いながら、お風呂を綺麗にするメイドさん。

 とても、心が洗われる光景……。


「メイド服着たままお風呂掃除はおかしいと思う!!」


 季紗きさが吼えた。


「濡れるよ! 邪魔だよメイド服!! お風呂掃除はっ、全裸でやるべきだと私、東宮ひがしみや季紗は主張します!!」


 清楚なお嬢様度120%な麗しのお顔に、変態的興奮を乗せて。


「せっかくみんなでお風呂掃除だよ!? 裸が見たいよ……!」

「そ、それでお風呂掃除を提案してきたのね……」


 頭痛を覚えてこめかみを押さえる由理。

 季紗ってばやたら皆でお風呂掃除したがると思ったら……裸でお掃除♪を期待していたらしい。


「だって裸の方が、お風呂掃除しやすいでしょう? ふふ、私が率先して脱ぐね♪」


 頬を染めて、するすると脱いでいく季紗。

 白い柔肌が、どんどん露わに……。


 そんなストリップショーを止めて由理が、


「てゆーか銭湯じゃあるまいし。狭いんだから、4人で掃除する必要も無いけどね」


 ぽん、と手を打ってリズ。


「あ、それもそうね……」

「にひひ、じゃあさ、後はやる気満々な季紗姉に任せてさ」


 美緒奈が八重歯覗かせ意地悪なスマイル。


「あたし達は、ホールのお仕事に戻ろっかぁ♪」

「ええぇー!?」


 ちょうどパンツを脱ぎ捨て全裸になったところの季紗を置いて、メイド服着た3人は浴室を出る。

 外したピンクのブラを持ったまま、何も着てない季紗が、タイルにぺたんと座り込んだ。


「そんな……みんな、ひどいよぅ。裸、すっごく見たかったのに……!」


 と、打ちひしがれる季紗へ。


「……もうっ。下着まで、だからね?」


 メイド服を脱いでパンツとブラだけになった由理が、顔真っ赤にしながら戻ってきた……!


「へへー、冗談だって、季紗姉♪ あたし達だって、季紗姉の裸見たいもん♪」


 美緒奈は素っ裸だ。

 横で由理が、「私は別に裸を見たいわけじゃ」……と照れている。


 そして。やはりまるっと脱いだ全裸で、ぽよんと胸を揺らして。


「さすが真面目な季紗ちゃん! そうね、本気でお風呂掃除するなら裸にならないとだめよね♪」


 リズも、全裸になっていた。

 ……真面目って何だろうと、首を傾げる由理を尻目に。


「みんな……」


 一糸纏わぬすっぽんぽん(1名下着姿)の美少女3人に、季紗が瞳を輝かせた。

 感極まって、これまた全裸で……!


「みんな、大好きっ……♪」


 ……ちゅぷぅ♪

 こうして今日も、「リトル・ガーデン」のお風呂では開店前から、女の子達が裸で唇を重ね合うのだった。


「ちゅ……んん。んぷ、ふぁ……うぅ♪」


 まさに、天使たちが戯れ合う、百合の花園。

 ここは地上の楽園、心が洗われる場所……。

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