「リトル・ガーデン」は温かいお店です。

 激しい水音と、立ち昇る女の子の匂い。


「ふふ、由理ゆーりってば、すごく濡れてるよ……♪」


 ぴちゅっ、ぴちゃんと淫猥な音に、熱っぽい甘い息が加わって。

 季紗きさの白く繊細な指が、隠すものを取り払った由理の裸身を優しく奏でる。


「ちゅ……んむぅ。季紗こそ、びしょ濡れのくせに……」


 汚れの無い、産まれたままの姿で抱き合い、唇を求め合う天使な美少女達。

 柔らかなカラダの熱が甘い薫りと一緒に伝わって、唾液と愛の滴が混ざり合って……。


「ふふ、私はいつでも濡れてるよ♪」

「はいその発言アウトぉぉぉぉぉ!?」


 ちゅぷっ♪

 季紗のえっちなセリフを百合キスで塞ぐ!


「ちゅむぅぅ……♪ 由理、大胆なんだからぁ♪」

「や、やっぱりこのサービス、まずくない? お風呂で百合キスとか……」


 そう、ここは百合メイド喫茶「リトル・ガーデン」のお風呂。

 普段は住み込みメイドの由理とリズが使うお風呂で、季紗がびしょ濡れなのだった。

 お風呂だからね! 全身濡れるよね!!と彼女は言っている。


 さて。実はまだお店営業中なのだが、2人が裸で愛し合っ……カラダを洗い合っていた理由は。


「今日の雨、すごいものね。雨の中来てくれるお嬢様のためにも、これをサービスでやろうよ♪」


 9月は長雨の季節。

 雨に濡れ、冷えた女子のカラダを暖めてあげるべく……特別サービスを季紗が発案したのだ。

 百合メイド達が、お風呂で洗いっこしてくれる!!


「服とか濡れたままだと冷えちゃうし、お客様に風邪を引かせるわけにはいかないものね。サービスだから、これは無償でやろうと思うの」


 亜麻色掛かったさらさらロングヘアーに、整った顔立ちを彩る長い睫毛……軽井沢の高原が似合う清純系乙女の季紗。さすが、慈愛の心に溢れた聖少女的アイデア。


「ソー○ランド? なんのこと?」

「でも、お風呂でキスするなんて、そのぉ……」


 正直ふーぞくみたい、と思いつつ由理、赤くなる。


「季紗たちとは、お互い裸見慣れてるからいいけどさ。女の子同士だからって、お客様に見られるのは……恥ずかしいよ」

「ふふ、それなら常連さんで慣れてみましょう♪」


 リズがお風呂に入ってきた。


 全裸であることは改めて説明するまでも無い。

 縦ロールをほどいた、ゆるふわウエーブの金のさざ波。

 無垢な色の青い瞳が目立つ童顔と、対照的な、すごいおっぱい。

 メイド服を脱ぎ捨てた裸の肢体は、まるで自由と解放の象徴のように……とにかくぷるんぷるんと揺れるたわわな胸が気になる。

 さらに説明するとリズは背も高く腰もくびれていて、女優のような肉付き。

 同性の由理でもつい憧れちゃうせくしーぼでぃは、それはもう魅惑的で……。


「あれ、リズさん。ホールの方はいいんですか?」


 季紗がたずねる。


「ええ、雨のせいで暇なのよね。それより、ほら……♪」


 全裸のリズ、後ろに隠れていた同じく裸の女の子の背を、浴室へ押す。


 未成熟な蕾の自分の肉体を、隣に立つリズと見比べてしまい羞じらいながら。

 胸を腕で隠し、赤い頬で、常連客の中学生、前園まえぞの円美まるみが入ってくる。


「あの、由理お姉さまが一緒に、お風呂入ってくださると聞いて……」


 黒髪で小柄、いかにも妹系な中学生の女の子、円美。

 ちらちら由理の裸を見て、ドキドキした顔で。


「私も、すごく濡れてしまいましたの。暖めて……くださいますか?」


 もちろん雨で濡れたのであって、えっちな意味ではない。


「うぐ……。円美お嬢様、可愛い……」


 中学生の女の子と全裸で抱き合って、ぬるぬるしたカラダを擦り付けるというのは……ちょっとイケないのでないかと、一瞬由理は考えるけど。


 心を読んだように季紗が囁く。


「やっぱりお客様も、雨の日はシャワー使いたいんだよ。女の子同士だし、何も問題無い。これは皆に喜ばれる、いいサービスだよ……!」

「そ、そうね。これはサービス。おもてなしなんだから……」


 というわけで由理、中学生とお風呂でカラダ洗いっこした。

 季紗もいるところに、リズも加わってるから、肌色率が大変だ。


「ふぅっ、んぷぅ……♪ 円美お嬢様、かゆいトコロとか、ありませんか? 私が、せいいっぱいご奉仕します♪」

「ちゅっ、ちゅぷぅ……♪ ああ、お姉さまのカラダ、暖かいですぅ……♪」


 幸せそうに百合キスする、全裸でびしょ濡れの乙女達。

 お風呂にエコー掛かって響く声は、えっちな喘ぎ声に聞こえるかも知れないけど……幸せのリズムです。


「ふふ、温もり……だね♪」


 季紗がにこっと微笑んでまとめた。


 一方ホールでは、雨音を押しのけて届く声に、美人店主マスターとおるお姉さんが頭を抱えて。


「また……うちの店がふーぞくみたいに……」

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