このぬいぐるみ、商品化希望。

「見て見て、美緒奈みおなちゃんのいぐるみ作ってみたの♪」


 手先の器用なリズさん、百合メイド喫茶「リトル・ガーデン」のオリジナル商品を作ってみたの巻。


 赤毛ツインテールのロリメイド、南原みなはら美緒奈みおなモデルの縫いぐるみ。

 胸にギュッとするのにぴったりなサイズで、デフォルメの効いた可愛らしい2頭身。

 メイド服のフリルに特徴的なツインテールまで完全再現の、こだわりの逸品だ。


「誰のを作るか迷ったけど、髪型とか考えて美緒奈ちゃんが分かり易いかなって。ね、可愛いでしょ?」

「照れるなー♪ プリティーな美緒奈様の縫いぐるみなんて、皆メロメロになっちゃうじゃんかぁ♪」


 美緒奈様ご本人も、可愛い縫いぐるみのクオリティに、ご満悦の様子。

 さっそく季紗きさが手に取ってみる。


「おおー、すっごい細かい! さすがリズさん」


 瞳を輝かせていた季紗は、縫いぐるみのスカートをめくって、


「……ぴらり」


 パンツを見てみた。


「やると思ったー! 季紗ねえ絶対やると思ったぁぁー!!」

「てへへ。つい……♪」


 自分のパンツを覗かれた気分になって赤くなる美緒奈に、季紗はぺろりと舌を出す。

 ちなみにしまパンだったらしい。


 由理ゆーりも、パンツは覗かないけど隅々まで鑑賞してみた。


「へぇ、ほんとによく出来てるわね。これ、けっこう売れるかも……」


 縫いぐるみのツインテールをぴょこぴょこ動かして、由理は感心する。

 自信作を完成させたリズ、その巨乳に縫いぐるみをぎゅっと抱き締めてにこっとした。


「ふふ、自分でも可愛く出来たなって思うの。キスしたくなっちゃうよね♪ ……ちゅっ♪」


 自分の姿の縫いぐるみにキスされて、美緒奈が照れ照れ。


「も、もうっ、リズ姉ってば照れちゃうなー♪」


 赤くなりながら、由理へも期待の視線を向ける。


「由理も、美緒奈様縫いぐるみにチューしていいんだぜ?」

「しないわよ、ばーか」


 美緒奈にキスしてるみたいじゃないの、と赤くなり、腕を組んで横を向く由理……ツンモードに入るのだった。


 ※ ※ ※


 そして休憩時間。

 休憩室に一人の由理、テーブルに置かれた美緒奈様縫いぐるみを抱きながら、ドキドキ。


「うぅ、確かにこれは可愛い、かも……」


 こっそり縫いぐるみにデレる由理さん。

 プロ並みの裁縫技術を誇るリズ謹製の縫いぐるみは、本当に女子のハートをキャッチしちゃうほどキュートなのだ。


「べ、別に、美緒奈のだからとか、そういうんじゃないけど……」


 頬を染め、ツンデレ特有のセルフ言い訳を始める。

 縫いぐるみに、キスしたくなってきたらしい。


「わ、私は美緒奈にキスしたいんじゃなくて。この縫いぐるみが可愛いから。そう、可愛い縫いぐるみにキスしたくなっただけなんだからね?」


 一人だけの休憩室で、自分へ言い聞かせる由理。

 でも、胸は高鳴ってしまって。


「……ちゅぅ」


 美緒奈縫いぐるみの唇に、ディープに接吻してしまった。


 そして美緒奈本人に目撃された。


「えと。なんか、すげー恥ずかしいんだけど……」

「はうぅっ!? ち、違うの! これは縫いぐるみを愛でたんであって……!?」


 でも美緒奈、満更でもない……というより、すっごく嬉しそうにツインテールを揺らして、


「そっかー、由理ちゃんはぁ、縫いぐるみにキスしちゃう女の子なんだ♪ 可愛いー♪」


 どうしよっかな、季紗姉とリズ姉に教えちゃおっかな、と小悪魔スマイル美緒奈。

 一転、羞じらう乙女の顔になって。


「……あたしにキスしたら、黙っててあげる」


 生キスを要求した。


「も、もうっ。だから、縫いぐるみが可愛かったら、つい……」


 そう言いながらも由理、縫いぐるみにキスしたのを言い触らされるのは恥ずかしいので。

 美緒奈の頬を手で挟んで……百合キス。


「……ちゅぅぅ」

「ん……。えへへっ♪」


 由理の舌を甘そうに舐めながら、美緒奈は赤くなる。


「本物のあたしの方が……美味しいでしょ」

「……ばか」


 ちゅぷぅぅ。

 けれど、美緒奈の言う通り。

 生の唇は、縫いぐるみよりずっと熱くて、甘かった。

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