裸のつきあいは、良いものデスワー

 夜の百合メイド喫茶「リトル・ガーデン」、閉店後。

 遅い時間に女子高生達だけで帰らせるのも危ないので、店主マスターとおるお姉さんが車で、美緒奈みおな季紗きさを送っていくことも多い。


 でも、今宵はその前に。

 夏の夜の暑さで汗べとべとなので、4人でお風呂に入ります。


「ふふ、由理ゆーりのカラダ、綺麗にしてあげるね。胸とか腰とか、口で言えないトコロとか♪」

「も、もう、季紗ってば、変なとこ触るなぁ!? お返しだからねっ」


 全裸で戯れ合う女子高生達。

 爽やかなハーブの香り配合の石鹸が白く泡立ち、桃色の柔肌を優しく包み込む。


 亜麻色さらさら髪の季紗も、セミロングの由理も、カラダを隠すもの全部脱ぎ捨てた裸の姿で、互いに洗いっこ。

 大きくはないが形の良い由理の胸を、季紗が石鹸に濡れた指で丹念に洗う。

 敏感な乳首を季紗の指で挟まれ、つい変な声が漏れる由理。


「んぅっ♪ ば、ばかっ。なんで、胸ばっかり丁寧に洗うのよぉ♪」


 そこへ、これまた裸の美緒奈が、


「なぁにえっちな声出してんのさー、本番はこれからだぜ♪」


 ツインテールを解いた長い赤毛の髪を浴室の床に垂らして、由理の脚の間に割り込んで。

 お尻とか下半身を重点的に触り始めた。


「んきゅぁぁ♪ そ、そんなトコロ、汚いっ……♪」

「だから綺麗にしてるんだろ。いいから美緒奈様に身を委ねなってば♪」


 美緒奈が由理のどこを触っているのかは、具体的に描くと怒られます。


「ふふ、美緒奈ちゃんもさすが綺麗好きだね♪」


 由理の上半身を季紗、下半身を美緒奈がぬるぬる。


「綺麗好きっていうか、二人ともやっぱりえっちよね……」


 ちょっぴり刺激の強いお風呂の中のじゃれ合いに、リズが赤くなる。


「わ、私は普通に、由理ちゃんの背中を流してあげるわね。……ぴとっ」


 ドリルな縦ロールを解除し、ゆるふわウエーブの掛かった金髪を腰まで下ろして、リズが由理の背中に密着。抜群の弾力を誇る二つの膨らみが、ぴっとり。


「せ、背中にリズさんの胸の感触がぁ!? や、柔らかいぃぃぃぃ♪」


 白い泡でぬるぬるしながら、火照った肌を重ね合う4人の乙女。

 お風呂にぴちゃっ、ぴちゃんと水音が上がる。たぶん天井からの水滴である。


「い、いい加減にしろぉ、このエロ娘達はぁぁぁぁぁ!?」


 すっごい触られた由理、怒る。

 でも季紗はにこっと微笑んで、


「ふふ、何を恥ずかしがってるの? お風呂だもん、裸で触り合うのは不思議じゃないよ?」


 これは洗いっこ。スキンシップだと強調。

 美緒奈も小悪魔な顔で唇をぺろりとしながら、


「そうそう、カラダを洗ってやってるだけだって。それで変な気分になるなんてさ、由理が意識し過ぎなんじゃないのぉー?」

「だ、誰が意識なんてっ……」


 そう言いつつ、由理は正面から、視線を逸らした。

 眼の前には、2人の美少女の全裸なのである。

 腰は細く、でも胸は出ている、彫刻のような季紗の裸体。可憐なお嬢様のようで、意外と着痩せするタイプな季紗の裸は、同じ女性の由理から見ても、すっごくせくしーだった。

 そして美緒奈の、凹凸の少ないつるつるボディ。華奢で、抱き締めたら折れてしまいそうで……季紗やリズとはまた別種の妖しい色香が有る。


「い、意識なんてしてない。してないからぁ!?」


 どっきんどっきん心臓が暴れ出すのは、お風呂でカラダが暖まったから!

 由理は必死で自分に言い聞かせた。


「と、とにかく。あんまり触らないでよ。自分で洗えるんだから」

「えー、それじゃつまらないよぅ」


 唇を尖らせる季紗。

 ふと、整った顔に、にこりと天使の笑みを乗せて。


「それにね、やっぱり触りたい、触れ合いたいのよ。だって……」


 ……ちゅ。

 はにかみながら、百合キスをしてきた。


「……由理のこと、大好きだもん」

「き、季紗ねえ!?」


 キスされた由理よりもなぜか焦る美緒奈。

 真っ赤になりながら、負けじと由理の唇を奪う。


「んぷ。こ、これは友情! 友情のキスだかんね、勘違いすんなよなっ」


 舌まで挿れる、かなり熱々の友情?アピールをして、美緒奈は。


「あ、あたしはあくまで友達のカラダを綺麗にしてやろーっていう、それだけだからな。由理に触りたいとかじゃねーからな!?」


 そう言いながらも、しおらしく、乙女の羞じらいにうつむきながら。


「でも、裸のつきあいは嫌いじゃないし。由理も、あたしに触って良いんだからな。……あたし達、友達なんだから」


 とくん。跳ねた心臓の音は、4人の誰のものか。

 そこへ、浴室の外から店主マスターの透お姉さんの声が掛かる。


「車の用意できたぞー。季紗、美緒奈、そろそろお風呂上がりな?」

「はーい」


 呼ばれた二人、急いでシャワーを浴びて、汗と石鹸の泡を流して。

 めいめいにお風呂を出ていく。


 あとに残された由理の顔を見て、リズは驚いた。


「由理ちゃん、顔真っ赤よ? のぼせちゃった?」

「……え?」


 意識なんてしてない。意識なんてしてない。意識なんてしてない。

 そのはずなのに。

 大好き、という言葉。友達、という言葉が嬉しくて。

 今度お風呂に入るときは、もっと触られても、許してあげようかな、なんて思うのだった。

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