第100回! 天使の看病編 終 天国のお母さまへ。由理は、独りじゃありません。。

「ちゅ……んむぅ。くぷ、ずぷ……ぅ♪」


 何時間経っただろう、意識はいまだ闇の中。

 でも口の中に、暖かな感触を感じる。

 ずぷずぷと舌に絡みつき、口蓋を舐め回す、生き物の温度を。


(なんだろ……甘くて、美味しい)


 激辛マグマに破壊された味覚を、優しく癒してくれる。

 蕩けるピーチ風味で、でも胸を妖しく疼かせる淫靡な味のそれは……。


「ちゅぷぬ♪ ふふ、このまま一晩中百合キスしたいね、由理ゆーり♪」

季紗きさぁっ!? んぷ、ふ……むぅぅ……っん♪」


 目が覚めたら零距離に、さらさらロングヘアー清楚系お嬢様の、ハァハァ息を荒げた美貌が!

 いつの間にか添い寝してたメイド服姿の季紗に、抱き付かれて百合キスされてました。


「ちゅぅ♪ ごめんね、私だけ遅れちゃって。でも今日の授業のノート、ちゃんと取って来たから。あとで宿題手伝うからね?」


 どうやらもう放課後、夕方らしい。

 さすが真面目なクラス委員にして生徒会副会長。学業を済ませてから来たようだ。


「ちゅぅ、んくぅ……、ちゅぷ、ちゅぷぅ……♪ 開店までまだ時間あるし、たっぷり百合キスで元気にしてあげるわ♪ ちゅぷぷずぷぅ♪」

「か、風邪移るってば、このキス魔ぁ!? ちゅ、んん……っ♪」


 パジャマ越し由理の胸をさわさわ撫でながら、ベッドで百合キスメイド季紗。

 その接吻はゆったりスローペースで病人に負担を掛けない分、一回一回が濃厚でねっとりしたフレンチキス。

 さすが真面目なクラス委員にして生徒会副会長にしてエロ乙女の季紗、糸引く唾液がやらしい。


 そのエロティックでありながら清らかな、二律背反百合光景にドキドキしながら、美緒奈みおながジェラシー。


「由理、気持ち良さそうだし。やっぱ季紗姉は百合キスの達人だもんな……。で、でもあたしだって! 今日はいっぱい百合キス看病するんだからっ」


 でも、対抗心に燃える美緒奈の頬を、死の淵から帰って来てたリズが、両手で捕まえる。


「こら、美緒奈ちゃんはお口の中を甘くするのが先よ。さあ、私と……」

「えー、あたし歯は磨いたよ? ……ちゅぅ」


 抱き合って百合キス、唾液を混ぜ合わせる金髪巨乳メイドと赤毛ツインテールのロリメイド。

 ピリ辛お粥の名残を消して、甘い百合キスのための準備。


「ちょっと待って。そもそも風邪引いてる人にちゅっちゅちゅっちゅキスしないでくれるかな?」


 キスは看病ではないのではありませんか? そんな疑問を由理は表明するけど、その唇を奪いながら、


「ちゅぷぅ♪ そんな、百合キス以外の看病って言ったら……」


 季紗が考え込む。


「……あとは、一緒にお風呂入って汗を流してあげたり? えっちして運動もいいかもね♪」

「エロから頭を離せってば、あんたはぁ!?」


 たおやか美少女顔のまま唇を突き出しちゅっちゅしてくる季紗を、由理は引き剥がすけど。

 唇が離れる隙を美緒奈が狙ってた!


「ちゅぅぅ……っ。んぷ、くぷぅ……。ば、ばか由理、百合キスがいちばん、元気になるに決まってるじゃんさ」


 愛がいちばん、風邪に効く薬です。

 あたしは別に由理なんて愛してないけどー?とか言いながら美緒奈。


「ちゅぷ、んむ……♪ ま、まぁ風邪移ったらそれはそれで? 由理が楽になるなら、許してやんよ。美緒奈様は海のよーに心が広いからな。ちゅぅぅ……♪」


 むしろ移してほしい。そしてメイド服でえっちな看病してほしい……なんて欲望が、美緒奈の潤んだ瞳にちらりと見えてる。


「……んぷぅ、由理、美緒奈様がそばにいてやるんだから、感謝しろよ……。ちゅぅぅっ♪」

「これで元気になったら私ノンケじゃないよね!? ちょ、やめ……美緒奈ぁっ、んちゅぅぅ……♪」


 もうノンケじゃなくていいのでは?

 美緒奈様の天使の百合キスが、由理をあんあん言わせます。


「ふぁぁ、美緒奈ちゃんも情熱的ね……」


 赤くなるリズを、唇から唾液を垂らす季紗が確保。


「うぅ、もっと百合キスしたいのに取られちゃった……。リズさんっ、私を慰めてください♪」

「ちょ、季紗ちゃんってばいきなり……ちゅぷぅ♪ んむぅ……♪」


 そして季紗とリズのピンクの舌がちろちろ絡み合う。

 じゅぽじゅぽ音を立てる激しいベーゼが、英国人リズの肉食な血を目覚めさせたり?


「はぁっ……はぁっ……もっと、もっと百合キスを♪ 由理ちゃん、私ともキスするのよ!」


 寂しんぼうリズさん、瞳に星を浮かべて、由理を押し倒し巨乳で圧迫!


「……ちゅぅぅ♪ 由理ちゃん、由理ちゃん……♪ 風邪が治ったら、お祝いにまたキスしましょうね♪」

「ちゅぷぅ!? ど、どんだけキスしたいのこの人達ぃぃー!?」


 ちなみに巨乳の圧力で、体重の軽い美緒奈が跳ねのけられ不満顔。


「も、もうっ。まだあたしの番だよリズ姉?」

「ふふ、ちょっと休憩ね、美緒奈ちゃん。でもほら、次は皆で百合キスするから……」


 そんな美緒奈を抱き締めて、季紗がちゅぅ。


「……ちゅぅ♪ 準備運動と思って、ね♪」

「な、なるほどー。ん、ちゅぅ……ずぷ♪ 季紗姉のエロパワーを分けてもらうね☆」


 ちゅぷ、ちゅぷ……。ずぷっ、ぬぷぅ。

 ベッドの上で、横で、百合キスの華が咲き乱れる。

 舞い踊る、清純で可憐な花びら。その花びらの名は、くちづけ。


「んく、ふぁ……くぅ、んむぅ……♪ わ、私、キスのし過ぎでぇ、おかしくなっちゃう……♪」


 リズの過激百合キスに唇を蹂躙されながら、とろんと溶けた瞳で失神寸前な由理へ、季紗がにこにこ。


「ふふ、カラダが熱くなっちゃった? それは健康な証だよ!! さあ、リズさん、美緒奈ちゃん、仕上げだよ♪」

「おっけー、季紗姉。ちゅぷぅ……♪」

「ふふ、私達って仲良し♪ ……ちゅぅぅ♪」


 号令一下、3人揃って由理へキッス。

 百合キスのトリニティエクスプロジオン(合体必殺技)!!


「「「……ちゅぅぅ♪」」」

「んぷぅ!? ちゅくぅ、ずちゅぅぅ……♪」


 ……由理、愛されてます。


 この後、ドン引き店主マスターを尻目に、出勤してきた非常勤のメイドさん達まで加わって、酒池百合林しゅちゆりりんな、初夏の百合キス祭りと相成ったのでありました。


「わ、私……独りじゃない。お母さん、私は今……幸せだよ。ちゅぷぅ♪」


 ……イイハナシダナー。


《天使の看病編・終了》

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