貴女の熱で暖めて。

 エロ乙女、東宮ひがしみや季紗きさ

 色っぽく頬を染め、気だるい吐息を漏らしながら、


「やだ……。パンツの中まで、びしょ濡れだよぅ……♪」


 ももを伝い、床に垂れるしずく。抑えきれない火照りに、発情子猫のように息は激しくなって……。


「ふふ、季紗ちゃん? 普通に、雨に濡れたって言おうね?」


 更衣室にて。

 季紗の長い髪をタオルで拭いてあげながら、リズがツッコむのだった。


「さすが季紗ねえ、いちいち発言がヒワイだね☆」


 ドライヤーを持ってきた美緒奈みおなも、尊敬?の眼差しで季紗を見上げた。


 百合メイド喫茶「リトル・ガーデン」、夕方の営業中。

 学校の用事で遅れた季紗、通り雨に遭って……濡れ濡れ美少女の出来上がりというわけである。


由理ゆーりちゃんもまだ帰らないし、心配ね。とりあえず季紗ちゃん、お店に出る前に、シャワー浴びていく?」


 リズと美緒奈はすでにメイド服着用。

 お姉さまらしく優しい仕草で髪を拭いてくれるリズと、その胸に甘える、濡れた制服姿の季紗。

 背景にキラキラと百合の花が見える、清らかな光景だ。


「ふふ、シャワーもいいですけど。しばらくこうして、リズさんに抱かれていたいです♪」

「も、もうっ……。早く脱がないと、風邪引いちゃうわよ?」


 今日は雨、喫茶店の客足も遠のく。

 ホールは店主マスターと非常勤の宮野早乙女コンビに任せ、ゆったりと、濡れたカラダを拭いてあげる……。


「……それにしても」


 ちらちらと視線を送りながら、美緒奈が照れる。


「季紗姉、濡れた白いシャツにピンクのブラが透けて……エロ過ぎだし」

「そうよね、私も目のやり場に困るというか……」


 季紗を抱き締める格好のリズも、顔を赤らめ同意。


 そう、雨に濡れた季紗、夏服期間で制服も薄着。

 雨水をしとどに含んだ白のシャツは柔肌にぴっとりと吸い付き、シースルーに透けているのだ。

 着痩せするタイプで意外と巨乳な季紗の、ピンクのブラに包まれた胸が、えっちいのだ。


「寒いでしょう、季紗ちゃん。やっぱり脱いだ方が……」

「……くしゅん」


 可愛らしくくしゃみをして、季紗は瞳を潤ませる。


「ぬ、脱げだなんてそんな♪ 裸見せるなんて恥ずかしいです……♪」

「いや季紗姉、ここでなんて言ってな」


 もちろん聞く耳持たぬ。


「恥ずかしいけど……2人が見たいなら! 私、まるっと脱ぎます♪」


 季紗、更衣室でシャツも下着も脱ぎ捨てようとする!


「わぁぁストリップはじめちゃだめー!?」


 リズが後ろから、美緒奈が前から! 暴走季紗に抱き付いて動きを封じてストップだ。

 そんな乙女2人の服越し体温に包まれて、季紗は整った顔に幸せな笑顔を浮かべて、


「リズさんと美緒奈ちゃんが、私をあっつくハグ!? こ、これもいい! これもいいね♪」


 瞳にキラキラ満天の星空。

 可憐な吐息を漏らし、2人にお願いする。


「こ、このまま……。ずっとこのまま私を抱き締めて、暖めて下さい……♪」

「え、私達の服も濡れちゃう……」


 カラダを離しかけるリズに、季紗は小首を傾げて。


 キスをねだる時のように、かすかに頬を染め、長い睫毛まつげを震わせつつ。

 清楚お嬢様風な美少女容姿から、舞い散る天使の羽根のように、聖なる乙女の純粋オーラを放出してみせた!


「……だめですか? 私、2人に暖めてほしいです……」

「「て、天使……っ!!」」


 ……改めて確認。東宮季紗は、国宝級美少女なのである。

 亜麻色のロングヘアーと、細身の可憐な肢体。


 リズと美緒奈をきゅんとさせるのは、造作もないのだった。


「そ、そそそうよね季紗ちゃんが風邪引いちゃうものね! もう、ぎゅーって抱き締めてあげるね♪ 私の体温がちゃんと伝わるように♪」

「じゃああたしは、季紗姉にキスしてあげる♪ ドキドキしたら、もっとカラダが暖まるぜ? ……ちゅぅ♪」


 制服半脱ぎで全身濡れ濡れの季紗を、前後からメイド服乙女の肉体サンドイッチでヒーター乾燥!

 リズは季紗の髪の水滴をペロペロ舐め取って吸引脱水、美緒奈は前から唇を重ねて、ちゅぷちゅぷ百合キスで媚熱のチャージ。


 高級衣類乾燥機にも、負けない。気がする、百合少女専用ドライヤーである。


「ちゅぷぅぅ……♪ リズさんも、美緒奈ちゃんも暖かいよ♪ あん、女の子に産まれて良かったぁ♪」


 ※ ※ ※


 学校からお店へ帰ってきた由理、髪を濡らす雨水を拭きながら、


「ああ、もうっ。梅雨の時期は嫌よねー、突然降るんだもん。……って、ナニしてんの?」

「ちゅぷぅ、ちゅん、ふぅぅ……♪ リズさん、美緒奈ちゃん、私まだ寒いです♪ もっと、カラダの奥まで暖めて♪」

「ん、ずぷっ……ぬる、ぬるぅ……♪ はぁい、季紗ちゃん♪ キスで、喉の奥まで暖めてあげるわね♪ ちゅぅぅ……♪」

「くぷぅ……んく、ふぁ、あっ……♪ 胸も触ってあげる、季紗姉♪ 血行が良くなって、暖まるのが早くなるよ☆ ……ちゅっ♪」


 由理が見たのは、更衣室で一心不乱に3P、でなくて温もりを分かち合う、3人のエロ乙女だった。


「風邪引くよ? ……って、聞こえてないか」


 由理は諦めて、シャワーを浴びにいくのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る