美緒奈さまお泊まり編 幕間 

 キッチンにて、美緒奈みおな由理ゆーりへ唇を押し当てている時。


 季紗きさの家、夜の東宮ひがしみや屋敷では。

 高校の宿題を解きながら、お嬢様が悶々としていた。


「今夜は美緒奈ちゃんが、『リトル・ガーデン』にお泊りなんだよね。3人で、お楽しみなのかしら……ハァハァ」


 季紗は、リズが学校の用事で寮へ外泊……つまりお店は美緒奈と由理の2人きりであることを、知らない。

 膨らむ妄想に、我慢できなくなってきた季紗。

 スマホを手に取り、リズへ電話。


 電話に出た彼女へ、開口一番、


「あの、リズさん……。今穿いてるパンツは何色ですか?」

『ふぇぇ!? し、白だけど……』

「ふふ、答えてくれるリズさん大好きです♪」


 純白レースのパンツを想像して、鼻血がたらり。

 それを上品な仕草で、ハンカチで拭きつつ。


「今夜は由理と、美緒奈ちゃんも一緒でしたよね? 私も混ざりたかったなぁ」

『それなんだけどね、私は学校の用事で急に……ふにゃぁぁ!? 胸揉んじゃだめぇぇ♪』


 電話の向こうでリズが喘いだ。


「ど、どうしたんですかリズさん! 急にえっちな声出して!?」

『う、後ろからぁ、胸ぇ♪ い、痛くしないで、るんちゃ……ふぁ、んにゃぁぁ……っ♪』


 ……ブツン。ツー、ツー。

 通話が切れた。


「い、いったい、どんなハードなプレイをしてるの……!?」


 季紗は、由理か美緒奈がナニかしたのだと判断。

 わくわくしながら、今度は美緒奈に電話を掛けてみた。


『き、季紗!? 助かった、押し倒されるトコだった……』

「あれ、由理が出た……」


 首を傾げる季紗の耳に、電話の向こうから、


『ちゅむぅ!? ん、ふぅ、んんっ……! だ、だめっ美緒奈ぁ。ほら、季紗から電話が……ちゅりゅぅ♪』

『ぷはぁっ。お、押し倒すとかゆーな! これくらいスキンシップだってのばーか!?』


 かなり激しいキス音だったのが止んで、美緒奈が電話口に出る。


『いいとこだったのに……なぁに、季紗ねえ?』

「……美緒奈ちゃん、なんだか怒ってる?」


 普段は甘ったるい美緒奈のロリボイスに、今日はちょっぴりトゲを感じる。


「と、とにかくっ。美緒奈ちゃん、えっちなコトはダメだよ!」

『し、してねーし! キスしてただけだしっ』


(うそ。リズさんすっごく変な声出してたもの。3人ですっごく……イケないコトしてるんだわ!)


 季紗は疑った。むしろ期待した。


「だ、ダメだからね私も混ぜてくれなくちゃ! 私だって由理やリズさんに、あんなコトとかこんなコトしたいんだから!?」


 もちろん美緒奈ちゃんにもね♪と断りを入れて、季紗はついでに質問。


「ところで美緒奈ちゃん、今のパンツの色は?」

『お、教えねーってば! 季紗姉のえっち!?』


 ……電話を切られた。


「むー残念。もっと相手してよ……」


 綺麗な亜麻色の髪を、指でくるくる弄りつつ。

 唇を尖らせる季紗……その脳内には、ピンク色の妄想がどんどん広がっていく。


「み、皆オトナの階段昇っちゃうのかな? は、鼻血が……♪」


 ハンカチで拭ききれなくなった血液が、宿題のノートを汚すのにも気付かず。

 明日は自分も、3人にたくさんキスしようと、決意を改める季紗だった。

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