美緒奈さまお泊まり編⑥ ツンデレ×ツンデレ×お風呂(前編)

 夜の「リトル・ガーデン」、お風呂に由理ゆーり美緒奈みおなの、色んな声が響く。


「や、やぁ、っ。そんなトコに、石鹸塗るなぁっ……!?」

「ゆ、由理こそっ。触り方がえっちぃし! ……んくっ♪」


 一糸纏わぬ、産まれたままの姿で。

 裸のカラダを曝け出した2人は、指にぬるぬるボディソープを垂らし、互いの肌に塗り合う。

 わきに、胸に、首筋に……おへその下へ。


 敏感な部分には恐る恐る、たどたどしい手つきで。

 白い肌に、ぬらぬら石鹸の泡。


 華奢な肋骨の辺りを触られ、赤くなった美緒奈が、八重歯を覗かせて威嚇する。


「ひゃんっ♪ く、くすぐったいっての、由理のばか! えっち!」

「はぁ!? あ、あんたが勝手にお風呂入って来たんでしょうが! どっちがえっちだってのよ!?」


 由理も負けじと赤面して、美緒奈に指を突き付ける。


「だ、だいたいさぁ! 私……裸見られるの、結構恥ずかしいんだからね……」


 胸を隠して、由理はジト目のまま羞じらった。

 気恥ずかしさが伝染したか、美緒奈もぽっと頬を染めて。


「……自意識過剰だっての。あたしが由理の裸見たり、見られたりして、よくじょーなんて」


 うつむき美緒奈、声が段々小さく。


「ド、ドキドキなんて……しない、もん……」


 赤い顔でそのまま黙り込む、全裸の美緒奈に。

 泡塗れの由理も照れ照れ。


「ば、ばか……黙らないでよ。本気ぽくて、反応に困る……」


 ……ぴちゃん、ぴちょん。

 浴室の天井から落ちる水滴の音にも気付かないくらい、自分の鼓動が騒がしく聴こえた。

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