美緒奈さまお泊まり編② えっちなゲームは18歳からですよ?

「え、由理ゆーりパソコン持ってねーの?」


 百合メイド喫茶「リトル・ガーデン」、今日は定休日。

 リズも高校の寮に泊まるそうで、由理と、お泊まりに来た美緒奈みおなの2人きり。


「あのね、私、この前まで一人暮らしだったんだから。そんなの買うお金無いってば」


 お店の裏、居住スペースのささやかなリビング。

 ゴスロリドレス姿でなにやら物色を始める美緒奈へ、由理は腰に手を当てて。


「あ、いちおうお店の方にはパソコンあるけど。店主マスターとかリズさんが仕事で使うのが」

「お店のかぁ……。さすがにそれでエロゲはできねーぜ」

「待て今なんつった?」


 由理に睨まれて、美緒奈は。

 つるぺたな胸を得意げに張って、持参のバッグから……それを、取り出した。


「エッロエロな百合ゲー!! 早乙女ちゃんに借りてきたんだ♪」

「きゃぁぁぁぁっ!? は、裸! 女の子が裸のパッケージぃ!?」


 美緒奈が取り出したるは、ゲームの箱。

 制服半脱ぎの2人の女の子が、半裸で抱き合うパッケージイラスト!


「ち、乳首とかモロだし!? なんてモノ見せるのよぉぉぉぉッ!?」


 あからさまに18禁なのだ。

 純情乙女な由理、正視できない。


 一方美緒奈、てひひと照れ笑いで。


「いやーこれ超エロいらしいぜ? せっかくだから由理にも見せてやろーと思って♪」

「せっかくだからの意味が分からない!?」


 パッケージ絵の、百合キスに興じる女の子達……ショートカットの少女と、ゴスロリを着た銀髪美幼女は、由理と美緒奈にもどこか似ているようで。


 由理、動揺せずにはいられない。


(な、なんなの!? 私にこんなの見せて……美緒奈ってばどうしたいわけ!?)


 女の子同士でえっちとか、興味無いから。

 顔から火炎放射しそうに熱くなる頬に、由理は戸惑うのだった。


 美緒奈はといえば、可愛らしく両手でゲーム箱を抱えて。

 むー、とジト目で見上げてくる。


「ちぇっ、じゅんじょーぶりやがって。ホントに興味ねーの?」


 エロエロなイラストを顔に近づけられて、由理泣きそう。


「な、無いっ! 無いってばぁ!?」


 息を吸って、思いっきり叫ぶ。


「え、えっちなんて……興味無いんだからぁっ!」


 でも、それを聞いて美緒奈。

 濡れた唇を震わせて、怯えるような瞳で、でもはっきりと。


 ささやいた。


「あたしは……興味あるよ?」


 その視線に、瞳の中に妖しく燃える感情に。

 由理は頭の中が真っ白になって。


 一拍置いて、カラダ全部の血液が頬に集まるのを感じた。


「だ、だめっ……」


 食べられちゃう。美緒奈に。

 貞操がピンチ。


 尻餅ついて、後ずさりして。

 ゆっくりと迫る美緒奈から逃げようとするけど。


 ……背中が、壁に着いた。

 近付いてくる吐息。熱っぽい瞳。美緒奈の、唇。


 キス寸前に、触れ合って。


「ね……エロゲみたいなコト、してみる?」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る