出会い編 ② これは面接なんです!

「ふにゃぁ……っ。そんなに強く揉んじゃらめぇっ♪」

「わ、私なんで、女の子の胸揉んでるんだろう……?」


 メイド服越しでも分かる、吸い付くような感触と抜群の弾力。

 金髪美少女メイドの柔らかマシュマロを揉みながら、由理ゆーりは顔を赤らめつつ回想する。

 ……なぜ、こんなコトになったのかを。


 ※ ※ ※


 求人広告を見た放課後。

 由理は記憶を頼りに、早速お店を探し当てるのだった。


「メイド喫茶かぁ。経験は無いけど……」


 オムライスにケチャップでハートを描いて、美味しくなるおまじない萌え萌えきゅーん♪とかやるんだろうか。

 正直、ちょっと恥ずかしい。恥ずかしいが、それでも。


「……時給1000円で住み込み可。この素敵な待遇のためなら!」


 何だって我慢してみせる! 西城さいじょう由理、生活掛かってます!

 そして勢いのまま、面接に臨んだみたのだけれど。

 お店のバックヤード、由理を出迎えたのは、バイトリーダーだという北欧系のメイド美少女だった。

 レモン色の金髪を、漫画のような縦ロールにした青い眼のメイド。

 顔立ちは意外と幼いのに、強烈に存在を主張する二つの膨らみがなんだか反則気味。


「ふふ、貴女は住み込み希望なのね?」

「は、はい! 家の事情で独り暮らし中でして……!」


 働きたいアピールしつつ由理は、彼女に見惚れていた。


(うわー、可愛い子だ! 外人さんでメイドとか、映画の中の人みたい!)


「うん、採用♪」

「って、早っ!?」


 まだ面接は始まったばかりなのに?

 呆気にとられる由理へにこにこ微笑みながら、金髪の少女は、


「だって貴女、可愛い顔してるし。それに、ちょっとボーイッシュで、スポーティで。今、うちのお店にいる子とは違うタイプだわ」


 可愛いと言われれば、もちろん悪い気はしない由理。


「えー、照れちゃうな。良いんですかね、こんな簡単に合格で」


 照れ照れしながら頭を掻く由理の前で、金髪の少女、


「ロリにお嬢様に、新しく爽やか系! よしっ、これで属性が揃ったわ!」


 なぜかガッツポーズ!


「……は?」

「ふふ、実は私も住み込みなのよ。仲良くしましょうね♪」


 いきなり由理の手を取る金髪メイド。顔が近い。


「私はエリザベス=ノースフィールド。気軽にリズって呼んでね、西城さん!」


 ……顔が近い。

 唇を突き出せばキスしてしまえそうな距離感に、由理は赤くなる。


(うわ、ぐいぐい来るなぁ。可愛いけどさ、これも外人さんならではかな?)


「ところで、その……」


 やっと手を離し、金髪メイドのリズ、もじもじしながら。


「西城さんは、その……どんな女の子がタイプなのかしら?」


 きゃっ、聞いちゃった♪的な吹き出しが似合いそうな表情での質問に。


「……はい?」


 由理、頭の上にハテナマークである。

 質問の意味がまったく分からない……!


「え……?」


 しかし金髪メイドのリズにとっても、由理の反応が不思議だったらしい。

 可愛く小首を傾げ、目を点にして、こちらも頭上にハテナマーク。


「え、好きなんでしょ? 女の子が」


 ますます意味が分からない。由理は混乱する。


「はぁ、別に嫌いじゃないですけど。……なんですか、その質問?」

「だ、だから! 女の子が好きなんでしょ!? 男の子より女の子が! 女の子同士でキスしたくてしたくて仕方ないってくらい大、大、大好きなんでしょう!?」

「いやいやいやいやいやいや!」


 詰め寄ってくるリズに、由理両手をぶんぶん振って否定!

 当然だ、由理はノンケなのだから!

 というか面接でなぜ、そんなアブノーマルな質問が出るのか!?


「そんな……なら、どうしてこのバイトに応募するの? ありえない!」


 常識的な由理の反応を、なぜか信じられないものを見たという風に爪を噛みながら。

 何やらぶつぶつと呟いているリズ。


「まさか……ノンケの子が間違えて応募?」

「あ、あのー?」


 恐る恐る由理が声を掛けると、リズは、キッと睨んできて。


「……西城さん! 私の胸を揉んでみて!」

「ええっ!? ますます意味が分からないんですけど!?」

「これは面接! 面接よ! 貴女がこの店で働くに相応しい人か、テストさせてもらいます!」


 本人も恥ずかしいのか、顔を真っ赤にしながらリズは、腕で下から、自分のたわわな夢風船を持ち上げて迫る……! 恥ずかしいならなぜやる、とは言いにくい雰囲気!


「何これ!? だいたいさっき採用って言ったのに……」

「いいから早く! さぁ遠慮なくぐいっと揉んで! 女の子の胸に興味も持てない女の子なんて、このお店には要りませんっ!」


 ……そして、ぎゅむっと。

 半ば強制的に由理は、初対面の金髪美少女の巨乳を揉まされるのだった。


 ※ ※ ※


「ふぁぁっ、ふぁぁぁんっ♪ 西城さんったら、あんっ、大胆♪」

「やば、この感触……ドキドキしてきたかも」


 むにむにと吸い付く柔らかさに、甘くてミルキーな匂いに、なんだか由理も夢心地に。

 頬を染めつつも、ついつい夢中になって揉んでしまう。

 由理の反応に満足したのか、単に気持ち良すぎたのか、リズは一際甘ったるい喘ぎを上げながら顔を蕩けさせて、


「ふにゃぁぁぁぁぁぁっ、合格ぅぅぅぅ……っ♪」

「……大丈夫か、この店?」

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