出会い編 ③ 由緒正しき百合メイド喫茶の歴史。
メイド喫茶、「リトル・ガーデン」のバイト採用試験、合格である。
ちなみに試験内容は、金髪美少女の胸を揉むという内容。
「ん、く……。こ、この私を、ここまでドキドキさせるなんて。素晴らしい素質よ西城さん、貴女なら、この店のエースにだってなれるかも知れない!」
「……なんの試験、これ?」
うっとりしながら褒め称えてくる金髪メイド、リズに、由理の頭上のハテナマークは増えざるを得ない。
ともあれ早速、仕事場を見学させてもらうことになった。
廊下を歩きながら、リズが解説。
「……この『リトル・ガーデン』はね、それはそれは由緒正しいメイド喫茶なのよ。何たって前身は350年以上前、江戸時代の寛永年間に出来た
「はぁ、すごいですねー。ところで、にょしょくちゃや、ってなんですか」
首を傾げる由理に、
「吉原の遊郭は知ってるでしょう? そこで働く遊女たちが絆を深め合うために創った、大人の社交場よ。女の園の大奥とも影で繋がって、それはもう人気だったのですって」
リズが熱く語ってくれるが、由理の頭の中は、
(……うん、とりあえずすっごく歴史があるらしい)
ぐらいの認識で思考停止していた。
仕方ない、いつも歴史のテスト赤点すれすれの由理には、難しい単語だらけなのだから。
江戸時代だなんて、源頼朝が幕府を開いたというくらいしか分からない。
……徳川家康? 残念ながら彼女には、卑弥呼との区別がついていない。絶望的だ!
外人のリズにも、まったく適わない程度の知識量なのだ!
で、結局女色茶屋とは何なのか。
「ふふ、うちの仕事内容を見れば分かるわ♪」
店内へ通じる扉を、リズが開ける。
それは、天国への扉か。あるいは禁断の……?
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