お仕事って、大変。
百合メイド喫茶「リトル・ガーデン」、本日は定休日。
定休日、なのだが放課後、お店の厨房には常勤百合メイドのうち3人が集まっていた。
「うんっ、美味し! このローストビーフのサンドイッチ売れるよ!」
こぶりにカットしたサンドイッチをリスのように頬張りながら、赤毛ロリメイド
「ふふ、
皆のカップに紅茶を煎れながら、金髪巨乳メイド、リズが微笑む。
上品な仕草でサンドイッチを小さく千切り、口へ運びながら、清純お嬢様メイド
「リズさんの手作り……リズさんの手の味……最高ですね♪」
「えと、ちゃんと手は洗ってるわよ、私?」
午後のお茶会、女の子達の放課後ティータイム。
そんな風に見える優雅で可愛らしい風景だが。
「リズ姉、季紗姉、これで春の行楽用新作はバッチリだね☆」
そう、これは
百合メイド喫茶「リトル・ガーデン」では、テイクアウト用の料理も販売している。
春、行楽の季節。女の子と女の子のデートのお供に最適な、百合娘同士の愛が深まるお手伝いが出来るような、そんなメニューを今回は開発中なのだ。
題して「春の百合色サンドバスケット」。
旨みたっぷりのローストビーフに、カロリー控えめのお魚の
バラエティに富んだ食材を、評判の「リトル・ガーデン」自家製パンで挟み、ハート型や星形の型でカットして、籠に詰め込んだ、ピクニック用のサンドイッチだ。
見た目に可愛く、カラフルに。そして恋人(もちろん女の子同士)達が2人で「あーん♪」し易いように、こぶりなサイズで切ってあるのがこだわりである。
さて、試食役に徹する美緒奈(家庭科赤点)、口をもむもむしながら、
「なんか、一発合格って感じ。わりとすぐ終わっちゃったね」
百合キス以外の仕事がすぐ終わることに不満は無いが。
もう一人のメイド、
けれど、そんな彼女へ。
リズが不思議そうな顔をして、
「あら、本番はこれからよ?」
「え、それってどういう……」
可愛らしく小首を傾げるツインテール美緒奈の前で。
リズと季紗の2人がこくんと頷き合い、唇にサンドイッチを含んで。
……ちゅう。
厨房のテーブルにて指を絡めあい、キスを始めた。
「……ふぁ、んっ、んむ。ちゅぅ♪ し、塩気はもう少し、抑えた方がいいかしら? んふぅぅ……!」
「はぁ、あふ、むぅ……♪ リズさんっ、キス中に口の中で蕩けるように、んんっ! このマリネ、もっと柔らかくしませんか? あ、むぅ……♪」
たっぷりの唾液で唇の間に糸を引きながら、ぐちゃぐちゃに溶けたサンドイッチを口移しで交換し続けるリズと季紗。熱っぽい瞳で吐息を掛けあう、糖度150%の甘々百合キス。
「……ナニしてんの?」
眼前の淫靡な接吻シーンに、ぽかーんとなる美緒奈。
彼女の疑問に先輩メイド2人、ようやく唇を離して。
リズ、2人の唾液で濡れた自分の唇をぺろりと舐めながら、
「だって、こういうコトするでしょ? うちのお客様なら」
うんうんと頷きながら季紗も、
「このサンドイッチはデート用だもん。口移しで美味しいかどうかが重要なんだよ」
目が
というわけで、次のサンドイッチを口に含み、試食という名のちゅっちゅ再開!
季紗とリズ、メイド服姿で熱く激しく抱き合いながら、
「ちゅ、ちゅくぅ、ちゅふん……♪ あ、このサラダ、口移しだと美味しいかも♪ ちゅぅ♪」
「ぴちゃ、ぴちゅ、れろろ……。ん、季紗ちゃんのキス、甘ぁい♪ ん、デザートのサンドイッチ、数を増やそうか♪」
重なる唇の中、愛と食材が循環する永遠ループの迷宮輪舞。
蕩けるキスの淫らなぴちゃぴちゃ音、春の百合風物詩。
それを生暖かい眼で見守りながら、美緒奈はサンドイッチをひと齧り。
「……結局、キスしたいだけじゃん」
※ ※ ※
そして夕方。遅れて学校から帰ってきた由理の前では。
「くぅ、んむぅ……、ふぅっ♪ 季紗姉も、リズ姉も、激し過ぎぃ♪ んんっ!」
やっぱり美緒奈も巻き込まれ、厨房は乙女メイド3人によるキスの饗宴の場と化していました!
「またキスしてるよ、この人達……」
らぶらぶに目くるめく愛の舞台……百合満開の花園となった厨房に、赤く頬を染める由理へ、美緒奈は。
「ち、違っ。んむ、ちゅぷぅ……♪ これは、お仕事なんだからぁっ……♪」
……お仕事って、大変デスネー(棒)。
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