第33話 事件発生
魔法船。
魔力をエンジンとして動く船で何人もの魔導師によって動かされているその甲板では乗客者である二人の異世界人が雄大な景色を眺めていた。
「ミキは船に乗るの初めて?」
「はい。初めて、です」
「俺も初めてなんだ。なんかいいよね。海の匂いとか風を感じられて」
風を感じるとか中二くさいかもしれないが魔法で進んでいるせいもあって風が強いのだ。
この風で、スカート捲れると、いいのに(ソウスケ心の一句)。
「で、も、カモメ足り、ない」
「カモメ? ああ、確かにそんなイメージあるな。餌あげてみたり……でも江戸時代にもそんなイメージが?」
いや、江戸時代とは限らないか? あんまり歴史には詳しくないからそれ以外咄嗟に出てこなかったけど。
「江戸、時代?」
「だってミキは平成生まれじゃないんだろ? 俺と会った時はあんな格好してたし、そんな刀持ってるから」
「違、う。私も、平成生まれ」
「え? でも質問した時、首傾げてたじゃん」
あれ可愛いからもう一回やって欲しいけど。というのは俺の欲求で「何の事?」といった感じの表情を浮かべていたはず。
「だっ、て。いきなりそん、な質問する、から」
確かにいきなり「平成って知ってる?」と質問されてまず出てくるのは何故そんな事を聞いてくるんだという疑問ですぐ答えられないだろう。無口な彼女ならば尚更だ。
「じゃ、じゃあ! あの袴は? その刀は?」
「先祖、が有名な侍だ、ったから」
俺と同じみたいな感じか。いや、俺は反抗してるから同じと言ったら失礼か。
「へ〜、ならあの穴はやっぱり空間だけしか歪められないのか。それりゃあ時空もは無理だよな」
「みん、なにも言う?」
「いや、いい。誰が何を企んでいるか分からない。それに今更って感じだし黙っとこう」
実際、今は聖剣集めの方に力を入れている。元の世界に戻る方法はそれが終わってからしかできないんだし、伝えるならその時でも遅くはないだろう。
「分かっ、た」
もう少し会話をして親密度を高めたかったのだがそれは船内から響いてきた悲鳴によって断念せざるを得なくなる。
「な、に?」
「アドちゃんの声だ。急ごう」
妙に心が騒つく。悪魔だから良くないと思う人もいるからこの逃げ場のない船で襲われたのかもしれない。
「アドちゃん大丈夫⁉︎」
「だい、じょうぶ?」
声が聞こえたアドの部屋に駆け込むと既に他のメンバーが揃っていてフィアがソウスケたちが来たのを確認してこう宣言した。
「犯人はこの中にいる」
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