第34話 犯人は誰だ?
「ちょ、ちょっと待って。いきなりそんなミステリーでよく使われる台詞を言われてもこの状況がどうなっているのか分からないんだけど」
部屋は何故か散らばっており、悲鳴を聞きつけメンバーが全員集まっているが俺のミキは最後に来て何も聞かされていない。分かるのはアドが被害者だという事だけ。
「実はアドの下着が盗まれたのだ」
「なっ、なんですって〜‼︎ それでどっちなんですか? どっちが盗まれたんですか? ブラジャー? パンツ?」
「テンション上がり過ぎですよソウスケくん。少し落ち着いてください」
「両方だ」
「両方⁉︎ くうっ〜犯人の奴め。絶対に捕まえてやる。それでアドちゃん、これは重要な質問なんだけどそのブラジャーとパンツの色は何色?」
そして柄も大切だ。最近は縞パンが人気だけど悪魔はどういうのを履いているんだろう? 別に俺は気にならないけどこの事件を解決するにはどんな情報でも欲しいだけだ。
「なんか変態みたいですよソウスケくん」
スルースルー。俺の耳は変態という単語は受け付けませ〜ん。
「ソウちゃん、どさくさに紛れて変な事聞かないでよ〜。これでも私プンプン状態なんだから」
あ、可愛い。
普通プンプン状態とか言うか?
自分の下着を盗まれてもこの一定したキャラなのだから頭が上がらない。
「ごめんごめん。それでフィア。この中に犯人がいるって言ったけどそれどういう意味だよ」
「そのままの意味だ。アドが下着をなくしたのに気づいて悲鳴をあげて私はすぐこの部屋に来たが誰も出た様子はなかった。窓も開けられた形跡はない」
船に乗る前に確認した時はあった事からこの船で犯人が盗んだのは確からしい。
「つまり、ここにいた人間が怪しいと」
密室事件か。面白くなってきた。
「ああ。そして悲鳴をあげる前にこの部屋にいたのはジーニアだ」
「ふっ、これで全ての謎は解けた。真実はいつも悲しいものだ。だが今回の犯人には俺も同情するし尊敬もする。男にとって美少女の下着はどんな財宝にも代え難いからな」
だが俺は真実を知ってしまった以上それを明るみに晒さなくてはいけない。
「ちょっと待ってくれソウスケくん。僕がこの部屋にいたのは偶然だ。少しアドくんに聞きたい事があって部屋に入ったら悲鳴があがったんだ」
「それはノックせずに入ったから着替えている最中だったという人生で一度は体験したいイベントをお前は実現させたという事か?」
ヤバい。赤い涙が出てこいつの首を絞めてしまうかもしれない。
「違う。そうではなくて荷物チェックをして下着がなくなった事に気づいた時に部屋に入ったという事です」
「じゃあ、犯人は一体誰なんだ?」
「下着、欲しが、る人」
つまり男か。そして下着を欲しがる変態……おや? 何やら雰囲気がおかしい。
「あ、あれ? みなさん、何故俺を見るんですか?」
なるほど、こういう時にこの台詞を使うのか。
「俺はやってない!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます