「光天（こうてん）騎士団？」

　王宮の一室で今後の対策を練る前にまずその名前が挙げられた。

「ああ、オランジェが団長を務めている騎士団だ。この領地では知らぬ人はいない組織だがオランジェが団長だからな。統率はそれほど取れていない。昔からの付き合いでオランジェは何故か私をライバル視しているからよく知っている」

「となるとどうにかして団長と一対一で話し合う場所を用意できるかもしれませんね」

「おいおい、そんなのあのカエル領主に任せればいいだろ。あいつは偉いだろ？　だったらあいつの一言でパパッとさ」

　できれば面倒事は避けたい。それは皆も同じだろうが首は横に振られる。

「そうは簡単にはいかない。聖使者は地位といったものから逸脱した存在なのだから領主の命令も意味はない」

「マジか……。じゃあ、俺たちで説得するか？　あのカエル領主がじゃじゃ馬呼ばわりする聖使者様と」

　変態呼ばわりされた俺が言うのもなんだがあいつは人を見る目がある。そういう奴だと俺の勘が囁いている。そんな奴がじゃじゃ馬の言ったんだ。一悶着あるに決まっている。

「耳を傾けてはくれないだろうな。彼女は苦労して聖使者になり、聖剣を扱える事を誇りに思っているからな」

「待て！　フィア、お前なんて言った？」

「聖剣を扱える事を誇りに思っている……だが」

「違うそこじゃない。彼女と言っただろ！　つまり、オランジェは美少女……。くっ、名前からして男だと勘違いしてしまった」

　一生の不覚。男みたいな名前の美少女もいるというのに……。

「あの〜、絶望しているところ悪いんだけど重要なのはそっちじゃないからソウちゃんも何か考えてね〜」

「当たり前っすよ。相手が女性ならばあまり傷つけない方法を考えてやりますよ！」

　と言っても話し合いは論外だ。となると強奪？　いや、彼女が報われない。

「あ、の……決闘、は？」

「決闘？　でもそれだと怪我をするかも」

　折角、物静かなミキが案を出してくれたのは嬉しいが美少女の柔肌が傷つくのは見たくない。

「僕がすぐに回復できるように魔法陣を展開しておくよ。それで決着がついてから回復すればいい」

　場所は限定されるが死人はでない。ソウスケはできれば戦うのは避けたかったがそうは言っていられない。

「それしかないか。後は誰が戦うかだな」

　ジーニア以外で聖使者と渡り合えるほどの力量を持っているのは一人しかいないと思うが。

「私がやろう。同じ騎士として、同じ聖使者として」

　目には目を、聖使者には聖使者を。

　彼女の目には確固たる決意が宿っていた。

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