第24話 この世界を救う方法

「全ての聖剣が死ぬ?」

「はい。正確には消滅します。どの聖剣も例外なく。原因は百三十年前の戦で力を使いすぎた事だとエクスカリバー様がおっしゃっていました」

「なるほど、それは大問題ケロね。聖剣は領地の象徴。なくなれば領民が混乱してしまう。それに悪魔に対抗する術がなくなってしまう」

 それほどこの世界にとって聖剣は大事なものなのだ。しかし、それは反面この世界の人間は聖剣に頼りすぎている結果とも言える。

「前者は無理でも後者はどうにかなります」

「というと?」

「聖剣が消滅するのは避けられませんがその内部にあるフォースを全て取り込み、それを魔界に落とせば」

「悪魔を滅せるか?」

「はい。ですがそれには必ず全ての聖剣を集めなくてはいけません」

「なあ、ジーニア。フォースってなんだ?」

 また俺は置いてぼりだ。あとミキも。性格上ミキは気になっても口には出さなそうだし、ここは暇そうで何か知ってそうな眼鏡に聞くしかあるまい。

「聖剣特有の力で悪魔に有効なんだ。百三十年前もそのフォースによって悪魔を退治できたんだ。聖剣によってその性質と量は違うらしいけど」

「しかし、待てよ。そのフォースを集めるのはいいけどそれをどこにしまうんだよ」

「それだ変態! 何か引っかかると思ったがそれだケロ。フォースを集めるのはいい。だがそれをどこに集める? 聖剣全てのフォースほどの莫大なエネルギーを保管できるところなどないぞ」

 さっきまでケロつけるの忘れてなかったか? てか、さらっと俺を変態扱いするな。

「ふふん、それは私の腹の中だよ。私はあらゆる力を吸収する力を持っているのであ〜る」

 ここでアドが誇らしげに胸を張る。鋭意成長中の胸を。

「悪魔がフォースを? それは信じ難いな」

 悪魔にとってフォースは毒みたいなもののはずだけどアドに変化はない。彼女が特別だからだろうか?

 いや、今それは関係ない。よくよく彼女を観察してその体にフォースを感じ取れた。それだけで十分だ。

「事実ですロッグ様。彼女は既にエクスカリバーを食し、そのフォースを体内に貯蔵しています」

「なるほど……確かに」

 見間違えるはずがない。それにエクスカリバー領地の使い者の言葉だ。疑うはずがない。

「それでお願いなのですがこの領地の聖剣、クラウ・ソラスを我々に譲っていただけないでしょうか?」

「俺っちはいいケロよ。ただあのじゃじゃ馬が何と言うか……」

「じゃじゃ馬?」

 つい言葉を繰り返してしまったが彼は気にせず、ため息混じりにその名を口にした。

「この領地の聖使者、オランジェ・クローバーだ……ケロ」

 ケロ忘れるなよ。


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