第21話 嫌いな理由
「パンパカパ〜ン。おめでとうソウちゃん。貴方は私がつくった魔法生物が暴れたり、隠れたりするから捕まえてねゲームに勝利しました〜」
巾着袋を手にアドの部屋に入り歓迎されて気づいたがそういえばそんな名前だった。
バリアを壊して接近戦に持ち込んで殴ったら気絶して呆気なく終わったから忘れていた。殴る必要はなかったが何となく一発入れておいた。
「アドちゃんとしては俺に来てほしくなかったんじゃないのか?」
ソウスケは仲を取り持とうとしているアドの気持ちに既に気づいていた。確証を持てたのは気配を消してコッソリ後をつけて聞いたジーニアの独り言だ。
「そんな事ないよ。このゲームは公平なんだからどっちが来ても私は良かったんだよ〜」
「ふ〜ん。それでこれでいいのか?」
奪い取った巾着袋を手渡してこのゲームを終わらせる。
「うん。間違いないよ。それじゃあ、早速勝者は呼び名を決めちゃいましょ〜う。私のオススメはねぇ〜」
「いや、いいよ普通で。俺も普通に呼ぶから」
そのオススメは聞きたくない。アドちゃんの残念なネーミングセンスが露見するだけだ。
「いいの? ソウちゃん、何だかジーちゃんが嫌いみたいだったけど……」
「なんかさぁ、戦ってるうちに気づいたんだよ。あいつがどうして嫌な感じがしたか。あいつの魔力が桁違いにデカイからだ」
今回は強襲を仕掛けて、不意を突けたから勝てたもののジーニアが万全な状態だったら勝てなかっただろう。
「つまりソウちゃんは嫉妬しちゃったんだ。自分にはないものを持ってるジーちゃんに」
あいつは自分の力に自信を持っていた。だが俺にはそれがない。親父から色々と教えてもらったけどそれを誇りには思えない。
「ああ、そうだよ。でもそれはもうやめた。そんな事をしても無駄だからな」
今俺に必要なのはそうじゃない。あいつと同じように自信を持つ事だから。
「へ〜、いいんじゃない。じゃあ、そろそろ私は寝るけどどうする?」
「俺も寝るよ」
パイモンと契約して、ジーニアと交戦して、疲労困憊だ。今なら熟睡できるという確信がある。
そっと横になって改めて実感する。
「うん、そこは私のベッドだからどいてね」
冷たい洗礼があり、俺は部屋から追い出されてしまった。いい匂いがするあのベッドでアドちゃんと一緒に寝たかったのに……。
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