第19話 魔力

「悪魔と契約……。ああ、そうか。アゾット剣か」

「知ってるのなら話が早い。てか、契約したらヤバかった系かこれ」

 やっぱり悪魔と契約するのはまずかったかな〜。美少女(多分)なら大丈夫だと思ったんだけど。

「いえ、魔法も悪魔の技術を盗んだものだしね。要は心の持ちようだよ。その点は君なら大丈夫だと思うから」

「どっから来んだよその自信。もしかして俺が悪魔化してお前らを襲うかもしれねーだろうが」

 絶対ないとは言えない。確率的には低いが自分に負けてしまうかもしれない。そう考えると背筋が凍るがそんな未来もあるのだ。

「その時はその時です。ですがそうはならないと僕は思うね。これでも人を見る目があると自負しているから」

「そうかよ。じゃあ、勝手に自負してろ」

 一直線の廊下だ。それにここは既に人払いは済ませてある。遠慮する必要がなく、全速力で間合いを詰めようとするがそれを待ってくれるはずもなくジーニアは咄嗟に黄色い玉を飛ばして来たがソウスケは姿勢を低くして紙一重で避ける。

「おっと! 危ねえだろうが」

 避けれたから良かったけど当たったら痛いだろあれ絶対!

 姿勢をそのままに、スピードを緩めずジーニアに向けて走り一気に決めにかかるが目の前に現れた黒い霧が自然と足を止めさせられた。

「これが魔力か?」

 どす黒くて禍々しい。瞬きをすると何もはいが確かに俺の前にはそれが広がっている。

「透明のバリアを張ったんだけど……。魔眼とは中々いいのを持ってるね」

『おいソウスケ! 背後に気をつけろ』

 宝石から聞こえたパイモンからの忠告で後ろを見ると避けたはずの黄色い玉がまた急接近してきていた。

「うぉっと。追尾してくるのかよこの玉」

 見えない壁と追尾する玉。

 一対一であり、横幅が狭い廊下では有効的な攻撃である。流石は領主専属魔導師。

 嫌な攻め方をしてくる。しかも自分はバリアの中でヌクヌクとこちらを観察しているのだから腹が立つ。

「さあ、どうするソウスケくん。魔眼で見ただろうけどこのバリアは僕を中心に球体型のもので何処にも抜け道はない」

 下の階に行き天井を壊しても、上の階に行き床を壊しても、虚をつけない。結局はそこも見えない壁に守られているのだから。

「どうする……だと? そんなの決まってるだろ。正面突破だ!」

 パイモンに強奪という選択肢を与えてもらった。それを選んだ俺は応えるしかないんだ。

 この場から逃げるのは俺が許さない。

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