第18話 正面から姑息な手を
「まさか、悪魔に仲を取り持とうとされるなんてね。けどそれも失敗に終わったようだけど。結局、ソウスケくんは諦めちゃったのかな?」
ジーニアは一階にある倉庫で暴れていたアドの魔法生物を捕まえ、巾着袋に入れてアドのいる部屋に向かっていた。
「しかし、まさか本当に暴れさせるとは。ソウスケくんを騙すだけなら振りだけでも良かったのに」
実はソウスケの部屋にアドがこのゲームの説明がされる前に彼女はジーニアに話をつけていた。
というのもアドは二人に仲良くなって欲しく、ジーニアはこれから旅を共にするソウスケと仲良くしたいと思っているからだ。
先に話を持ちかけたのはアド。
ゲームといってソウスケを巻き込み、ジーニアにはソウスケが来たら一緒に捕まえるように指示していた。
「でも、どうしよう。本人が来ないのはちょっと予想外だったな。彼の性格からすると片っ端から探し回ると思ったんだけど……」
もしそうだったらジーニアが魔法で誘導して捕まえるのに苦戦しているという場面を見せてアドの思惑通りになる予定だったのだが現実はそう上手くはいかない。
「よお、お前なら捕まえてくれると思ったぜ」
そう上手くはいかない。
待つのを諦めて早々にケリをつけたジーニアの前に今頃になってソウスケが立ちはだかったのだから。
「ソウスケくん。今頃、顔を出すなんて遅過ぎるんじゃないのかな? もう魔法生物は僕が捕まえちゃったよ」
ルール上大型魔法が使えなくともソウスケと同い年くらいなのに魔導師としては最高の地位である領主専属の魔導師まで上り詰めた男だ。
魔法生物を捕まえるなど容易い。
「いいや、遅くないさ。むしろベストタイミングだ。なんたって俺はお前が捕まえたそれを強奪する為に来たんだからな」
これはルールを破った行為ではない。アドは勝利条件を『捕まえる事』ではなく『連れて来る事』だからだ。最終的に魔法生物を手にしてアドの部屋に辿り着ければその過程はどうだっていい。
「なるほど、そう来たか。でもそれって僕に勝てたらの話だよね。僕に勝てなくちゃあこの魔法生物を手に入れられない」
強奪といってもそう簡単ではない。捕まえる手間は省けるがこの男と戦わなくてはいけない。
だからソウスケはそれ相応の準備をしてきた。呼び名を決めるゲームとしては過剰すぎるほどの準備を。
「ああ、だから勝つ気で来た。悪魔と契約をしてな」
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