第17話 悪魔との作戦会議
『まず、魔法生物というのは魔力を力の源にしている生物だ。常に魔力を帯びている。つまり、そいつがいた所には微かだが魔力がある』
「つまりそれを頼りに探せばいいって事か」
パイモンから授かったこの魔眼ならでのやり方ではあるが結局探しやすくなっただけか。だけど文句も言ってられないか。早く探してアドちゃんに渡さないとお互い変な呼び方をしなくてはいけなくなってしまう。
『慌てるなソウスケ。魔法生物はそう簡単には消えたりはしない』
「でもアドちゃんは時間を教えてくれなかった。これって急がないとヤバイよって言ってるようなもんだろ」
脅しというほどではないが魔法生物がその中にある魔力がなくなると消えるのはここまで運んでくれた馬が証明している。なんの前触れもなく本人にしか消えるタイミングが分からない。あいつはちょうどこの街に到着する時に消えるよう設定してつくったらしいが。
『それが奴の狙いだ。お前が動いたら必然的にジーニアという魔導師と鉢合わせする。彼奴の事だ。そう簡単に捕まえられる魔法生物を用意はしていないだろう。となると、お前はジーニアに協力を要請するしかなくなる』
はたしてそれを了承するかどうか……いや、あいつなら一つ返事で引き受ける。そういう奴だ。アドちゃんはそれを踏まえてこのゲームを提案したのだろうか?
「つまり俺とあいつを仲良くさせるのがアドちゃんの狙いだと?」
『でなければこんなゲーム持ちかけたりはしないだろうな』
確かにアドちゃんは悪魔だけど平和を望んでいる。でなければ聖剣に頼まれたからといってこんな旅をわけがない。彼女は悪魔でもあり聖者でもあるのだ。そういう事を企んでいてもおかしくはない。
「パイモン、アドちゃんの事知ってるのか?」
『まあな。彼奴は魔界では知らぬ者はいない有名人だからな。しかし、お前に何かを教える義理はない。聞きたい事があるなら本人に直接聞け』
マジで有名人だったんだアドちゃん。半信半疑だったけど他の悪魔から聞くと本当なんだなと実感出来る。
「分かった。でも追わないならどうやって捕まえるんだよ。罠でも張るのか?」
親父から人間用、動物用。あらゆる場面で使える罠を伝授されているから十分くらいあれば用意できるけどそれに引っかかってくれるかどうかは運任せになってくる。
『いいや。もっと確実で簡単な手がある』
パイモンからその内容を聞いた俺は納得した。
なるほど、それは確実で簡単な手だ。そしていかにも悪魔らしい策でもあった。
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