第15話 パイモン
「パ……パイ揉み?」
なんという魅惑の響き。柔らかいお山をモミモミ。大も小もモミモミ。それはまさしく男の夢。
圧倒的弾力。それを手で味わえる幸福。天に昇る気分なのだろう。まだ俺は経験がないから分からないがこれだけは知っている。
パイ揉みは正義だと。
『揉むな。パイモンだ。パ、イ、モ、ン。ふざけているのか貴様』
「ふざけてない。ただ俺はお前の力を借りたいだけだ。そしてついでのお前のスリーサイズを聞き、今後の方針を考えよう」
『最後の方は貴様の願望が曝け出されていたが聞かなかった事にしてやろう。しかし、貴様我に力を借りたいとは承知しているのだろうな』
「承知? 何を?」
揉んだからには揉まれる覚悟あるんだよな、的な展開? いや、俺揉んでないしそれはないか。
揉むどころか顔を見れてないのに。
『もしや無償で力を借りられると思ったか? 不覚にも封印されてしまったがこれでも悪魔だ。人間程度にやすやすと扱えはしまい。使い続けると貴様が悪魔になるという可能性だってある。それでも尚、我に力を借りようとするか人間』
「ああ、無論だ。パイモン……だっけか。お前は俺を甘く見ているようだが悪魔になるのは心の弱い奴だろ? その点は領主から事前に話を聞いてる。だけど俺はそうはならねえ。なんせまだやる事が有り余ってるからな。悪魔になる暇なんてねえよ」
この世界でも元の世界でもまだ始まったばかりだ。スケジュール帳に空白はなくなるよう精進するぜ。
『ほう、人間にしては威勢がいいな。封印されて暇を持て余してたところだ。貴様が悪魔になるか否か、我が確かめてやろう』
「それって……つまり?」
『望み通り力を貸してやると言ってるんだこの分からず屋! さっさと宝石をガントレットの窪みに嵌めろ』
これがツンデレというやつか。彼女は宝石の中だから顔は見えないけどきっと顔を赤らめてるんだろうな〜。
「はいはい。これでいいか?」
言われるがままに宝石を窪みに嵌める。
ピッタリ過ぎて逆に違和感があるくらいだ。
『ああ、それとしつこい様だがこれは貴様と我が契約するという事になる。悪魔と切っても切れぬ縁になり、力に苦しむことになるかもしれないが良いか?』
「構わない。お前は一緒にいてくれるんだろパイモン」
切っても切れぬ縁ならばもし俺が悪魔になっても縁は切れないはずだ。例えあいつらと縁を切るしかなくなっても。
『ふっ、面白い事を言う。いいだろう。その時は一緒にいてやろう人間 』
次の瞬間、部屋は宝石から放たれる紫色の光に包まれた。
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