第10話 諸事情により

 残念なお知らせ。

 アドの大胆でセクシーな服装は目立ちすぎるというフィアの指摘により変更されました。

 彼女は悪魔で一般的にはこの世界の敵という事になっているのだから仕方ない。

 そして悲壮感に浸る男が一人。

「別に文句があるとかじゃないんすよ。確かに前回のは露出度が高過ぎでしたからね」

 横乳、脇、おヘソが見えなくなったのは残念だけどここは……ここは世間体を考えよう。

「悪魔と知れたら大事だからね。暴動が起きてしまう。それだけならまだ僕一人で止められるけど、他の領地の人たちの耳にこの情報が入ったら……」

「聖剣集めどころじゃないか。それはそうだよな。いくら世界を救える力を持ってるといっても悪魔だしな」

 いくら昔の事であったとしても事実は事実。悪魔に対しての恐怖や怒りは薄れてはいないはずだ。

「あれ、ソウちゃんは私のこと嫌い?」

「いやいやそれはない。俺は種族とかそういうの気にしてないから。てか、アドちゃん。気になってたんだけどアドちゃんが言う世界が救える力って何?」

 エクスカリバーがその身を捧げるに値する力ならば相応のものなのだろうが。

「それは秘密。聖剣を全部食べられたら話すよ」

「じゃあ、せめてスリーサイズだけでも」

 バストをウエストをヒップを。

「うん、教えないよ絶対」

 流れでいけると思ったのに軽くスルーされた。まあいい。仕方なく、本当に仕方なくだけど真面目な話でもするか。

「じゃあ、何でアドちゃんが動き出したかだけでも聞かせてくれ」

 エクスカリバーに指名され、半ば強制的にこの旅に参加することになったが旅の目的が曖昧のままだとどうもやる気が出ない。

 敵の正体が分からない戦いほどやり甲斐のないものはないだろう。

「魔王がこの世界を滅ぼそうとしているからよ」

「また? 百三十年前に倒されたんじゃあ……」

「聖剣が倒したのはこの世界に攻め込んで来た悪魔だけ。魔界に残った悪魔は生きているの。それも今の魔王は歴代最強、弱体化した聖剣では止められない。だから私が止めるの」

 生き残った悪魔の中から魔王が選ばれたらしい。なんとも執念深い。

「何で魔王はこの世界を……。もしかして復讐?」

「まさか。魔王はただ破壊を求めているだけ。それが自分の首を絞めているとは知らずにね」

 切な気にそう呟いて悲しそうに俯いた。

 ソウスケはそれ以上聞けなかった。いくら彼でも空気を読めないわけではない。

「アド、ソウスケたちに事情を話すのはいいが場所を選んでくれ」

 そうだった。フィアさんに言われて気がついたけど俺たちは王宮近くの街で適当な店に入り、昼飯を食っている途中だった。

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