第8話 魔導師

 アゾット剣という悪魔が封印されている短剣を手に入れ、集合場所である会議室へと行くとそこには袴から白い服にメイクアップしていたミキの姿があった。

 まるで学校の制服みたいで下はスカートで動きやすさがアップしている。

「あれ、ミキさんその格好……」

「ハカマというものでは目立ってしまうからな。私が着替えさせた」

 何? つまりもう少し早く来てれば着替え途中にバッタリというベタな展開を体験できたというのか……。

 てか、前より露出度が高くなってるけどそれはいいのか? いいんですね!

「安心しろお前の分も用意してある」

「俺スカート履いたことありません!」

「何を言っている。ちゃんと男用のだ。ミキのようにスカートを履かなくていい」

「ていうかソウちゃん、履けって言われたら履くの?」

 アドが追い討ちかける。

 というか俺の名前勝手に訳されちゃってるんだけど。まあ、美少女なら許す。

「ま、まさか〜冗談だよ冗談。ちょっと領主から物騒なもの渡されて戸惑ってだけだって」

「アゾット剣か。ミスト様も思い切ったものだな」

「そういえばミキさんは何か武器貰ったりしました? 戦うかどうかは別として自分の身も守るものくらいはないと」

「私、これ、あるから」

 彼女は片時も離さず持っていた刀を持ち上げて主張する。

「あっ、そっか。なら必要ないね」

 なんでそんなもの持ってるんだろ? ミキさん謎多すぎるんだけど。

「よ〜し、じゃあ皆揃ったようだし早速今後のことについて話をしていくよ〜」

 一人だけテンションの高いアドは何故か楽しそうに声を張り上げる。

「まず二人には何をするかを説明しなくちゃね。と言ってもただ聖剣を食べるだけなんだね」

「エクスカリバーだけじゃ駄目なのか?」

 フィアさんが言うには聖剣の中で最強なはずだけど。

「全然足りな〜い。この世界にある聖剣全て食べる。それが世界を救う唯一の方法なの」

「聖剣全てを……」

 なんか更に壮大になってる気がするぞ、俺の家出。

「その為に各領地へ行き、許しを請う」

「簡単に言いますけど許してくれますかね」

 聖剣がどういうものかもまだハッキリと分かっていないソウスケでもそれは難しいんじゃないかと予測はつく。

「さあな。アドの事は私達以外知らないし、もし知っていたとしても聖剣は領地の象徴。そう易易と渡してはくれないだろうな。最悪の場合戦争というのもありえる」

「マジっすか」

 悪魔に聖剣を食べさせる為に戦争って……。つーか俺たちはアドちゃんが聖剣を食べるのが何で世界を救うことに繋がるか分からないんだけど。

「まあまあ、安心してよソウちゃん。そうならない為にも私達が頑張ればいいんだよ〜」

「そう……だな。よし、そうと決まれば早速行きましょう。聖剣食べ歩きツアーに!」

 聖剣たちには悪いけど、それがこの世界を救う為だ。そしてそれは俺たちが元の世界に帰れる唯一の方法だ。

 エクスカリバーに指名された時点で後戻りはできないんだ。こうなったらとことんやってやる。

「待てソウスケ。そのやる気は嬉しいがその前に紹介したい奴がいる」

 お! また新たな美少女が?

 とソウスケは期待したがそれは儚く消えた。

 そのフィアが言う紹介したい奴というのが男だったからだ。

「どうも、初めまして。これから君たちと行動を共にすることになった領主様の専属魔導師をしているジーニア・ライフォートです。どうぞ、よろしく」

 よろしくない。俺のハーレムを返せ。

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