第2話 ファイト開始!地球に落ちたムシロ

「敵影接近! かなり近いぞ!」

 マジかよエンカウント早くね!?

「相手はどれくらいの距離まで来てるんすか?」

「ここから徒歩5分のところだ」

 近ぇぇよぉぉぉぉぉぉ!!!最寄り駅並じゃねぇぇかぁぁぁぁ!!!!

「とにかく出動だイチオ君! ここは地下研究所になっている。そこに梯子があるから30メートルくらい登っていけば出動できるぞ」

 ねぇなんで梯子にしたの!? 馬鹿なの!? エレベーターでよくない!?

「よし! イチオ君とりあえず出撃するのだ!!!」


-30分後-


「ハァハァ……やっと地上か。ちきしょう、既に筋肉痛でいたるところ痛い」

 耳元の機械から音声が聞こえる。無線になっているようだ。

『大丈夫だイチオ君。その日のうちに筋肉痛が出るのは、まだ若い証拠だ!』

「別にそこ気にしてないからね! そういう問題じゃないからね! いやそれはどうでもいいんだ。一体破壊神ムシロってどんな……」

 視界の端にチラッとどす黒い巨体が見える。え、ちょっと待ってあれじゃないよね? あれだったらヤバいんだけど。俺もう帰りたいんだけど。徒歩5分どころかパッと見50メートル先くらいのとこにいるんだけど。

 恐る恐る破壊神ムシロの方を見ると、今まさに咆哮を上げんと天空に伸びあがっている。

「ム……ム……ムシロォォォ」

 えぇぇぇ声そんな感じなの? 自分の名前が鳴き声になっちゃう系のやつ? ピカ〇ュウが「ピッカピッカ」とか言っちゃうやつ?

『イチオ君、ムシロは破壊神とはいえ、まだ年齢的には3歳だ。知能は限りなくベイビーだ。今だったらやっちゃえる気がする。それはもう迅速に対応してくれ』

 3歳か。それならいける気もするが。いや待て。遠近感がおかしい気がするぞ。え、ちょっとデカくね? あいつなんか全長10メートルくらいに見えるんだけど。

『ちなみにムシロは1ターンに10回攻撃してくるから気を付けたまえ』

「ターン制なの!!? 10回て絶対勝てないだろ、どうすんだ!」

『あと一発の攻撃で普通の人間なら9999ダメージ喰らうから』

 即死じゃねぇぇかぁぁぁぁぁぁ!!

『あとムシロの必殺技<ムシる>が出たら9割の確率で死ぬ』

 どっちにしろ即死じゃねぇぇぇかぁぁぁぁぁぁ!!

『イチオ君、まずは逃げるのだ。近所にゴッド関シャイニング先輩という男が住んでいる。彼を仲間にするんだ。頼んだぞ!」


 かくしてイチオはゴッド関シャイニング先輩とやらに会うために、旅立つこととなった。仲間を集めたところで、一撃で9999ダメージを喰らわせてくる破壊神を倒せるのだろうか。そもそも逃げていいなら出撃した意味はあったのだろうか。

 互いの思惑が交錯する中で、イチオはついにゴッド関シャイニング先輩のお宅を訪問する。

次回『機動サラリーマンICHIO』第三話。

「地面から出てきた謎のロボットに乗り込み、爆熱した指を振り回してやたら叫ぶ(時々脱ぐ)男」

来週もぉぉぉガ〇ダムファイトォォレディィィゴォォォォォォォ!!!

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