機動サラリーマンICTIO

空美々猫

第1話 イチオ大地の立つ

 俺の名はイチオ。その日、俺はいつものように部屋でゲームをプレイしようとしていた。スーパーファザコンにディスクをセットし、ゲームを起動しようとした時に異変は起きた。

「な、なんか物凄い勢いでアレが! あの、なんだ、お皿的なやつ! そうディスクだ! ディスクが回転してるぞおおおおお!!」

 ズドガッシャァァァァァァン……メチョン。


 スーパーファザコンは爆発したのだった。

(メチョンってどんな爆発音だよ……)

(……ョンってどんな爆発音だよ……)

(…………ってどんな爆発音だよ……)

(………………どんな爆発音だよ……)

 そして俺の意識はブラックアウトした。


「起きたまえ。起きるんだイチオ君」

「え!」

 目が覚めると、そこはいかにも取って付けた感じの装置的なやつが置いてあるラボの中にいた。俺はベットに寝かされている。

「やっと目が覚めたかねイチオ君」

 そこにはいかにも取って付けた感じの丸縁サングラスをかけた胡散臭そうなおじさんが立っていた。あとなんか白衣を着ているのも、すごい取って付けた感じだ。

「アンタ、何故俺の名を知っている?」

「え、何故って……。もしかして……」

「私達……」

「「入れ替わってるー!?」」

「やめろぉぉぉぉぉ!! そういう今ホットなやつをしれっとパクるのやめろぉぉぉぉ!!」

 怖い。怖すぎるぜこのおっさん。あとなんかいろいろ怖いから本当すいませんマジで。


「私の名前はドクター竹ちょん。ほぼニートだ」

 どっちだよ! ドクターとニートだいぶ離れてるぞ。

「まぁ突然こんなことになって驚くのも無理はない。とりあえずお風呂にする? ご飯のにする? それとも……ア・タ――」

「うるせぇ言わせるかぁぁぁぁ」

 だいぶキモいぞ、このおっさん。いやそれはいい。とにかく今は状況を把握しないと。ここは一体どこなんだ。俺は確か日課であるスーパーファザコンをやろうとしてたんだ。そうだ俺もニートだった。いやそれも今はいい。何か手掛かりは無いか……。


 そうこうしているうちに、おっさんは何故かモニターを、あの先っちょに手が付いてるお笑い番組とかでよく見る棒のやつで指し示した。

「イチオ君、君は人型決戦兵器として、もうザックリと悪そうに見えるやつを片っ端から成敗してもらいたい、いい感じのテンポで」

 いろいろツッコミたいところはあった。あったけど……。

「俺が人型決戦兵器どういうことだってばよ、あ、違った、どういうことだよ!!」

 博士が指し示すモニターには俺の身体が映し出されている。しかも顔の部分だけ明らかに悪意のあるコラージュが貼ってあった。


「君はアレだ、もう面倒なんで言っちゃうけど、異世界転生した」

 設定そのまま言っちゃったぁぁぁぁぁぁぁ!!!

「ザックリ言うと、君はよくある感じでRPG的な世界に異世界転生したのだよ。スーパーファザコンが爆発した時に」

 すごいメタ発言してんだけどこの人!? 大丈夫なのコレ? 大丈夫?

「それでまぁなんか申し訳ないけど、君は機動サラリーマンICHIOイチオになったのだよ。マジごめん」

 なんで謝罪されてんだぁぁぁぁ機動サラリーマンてなんだぁぁぁぁぁぁぁ!!!

「安心したまえ。何も丸腰で戦うわけじゃない。君にはコンビニでもらえる割箸と、そして感情が高ぶった時に君のサイコエネルギーのゲージが溜まったら使える<名刺ビット>が装備されている」

「割箸と名刺ってほぼ丸腰じゃねぇか! しかも所々に中二病なフレーズが入ってたぞ! てかなんだそのサラリーマン設定!!」

「かっこいいじゃないかサラリーマンが名刺で戦うんだよ? 機動サラリーマンなんだよ?」

 ダメだおっさんのフェチズムが特殊過ぎてついていけない。

「まぁそういうことだから。よろしくドーゾー」

 うざい。マジでうざいぞこのおっさん。あと異世界転生って、もっとこう勇者とか魔法使いとかになって、ドラゴンとかと闘ったりするやつじゃないのか知らんけど。


「俺はどうしたら……」

「あ!」

「なんだよおっさん」

「レーダーに敵機反応あり!こ、こいつは……破壊神ムシロだ!」

 え? いきなり破壊神てヤバくない? どうなんの? どうなんの俺?


(BGM)ダダダーダーダン~♪


-To Be Continued-




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る