第8回 ナターシャとエルフの国~その1・入国編

 あなたのハートのセーブポイント!

 どうも、ナターシャです! ゆっくりしていってね☆


 言ってみてから気が付いたんですが、「あなたのハートのセーブポイント」って限りなくキープ女っぽいですね。決して自宅にも宿屋にもなれない、本命彼女になれない、的な。


「おまえは俺のセーブポイントだから……癒してくれよ……」って抱いてきてね、朝になったら男は去っていくんですよ。

 しかもセーブポイントでの休息って、テントじゃないですか?

 ベッドではなくテントで済ませちゃう感じも軽く扱われてるな~、ってイメージを加速させてですね、本当、『fan-fan』読者はセーブポイント女になっちゃダメですよ!

 自分を大事に! いのちをだいじに! ていそうだいじに!


 はい、オープニング終わり! みんな、セーブした?

 じゃあ、前回の予告通り、エルフの国に行った時の話をしたいと思います!


 幸いまだエルフ女子からカミソリレターは送られてきていないので、引き続き世の妖精になりたがる身の程知らずな女の子たちに向け、ガンガン警鐘を鳴らしていく所存です。妖精になるのは30過ぎた男の子だけで十分だ!


 早速エルフの国潜入レポートにいきたいところなんですが、その前にちょっとエルフの国についてお勉強しておきましょう。その辺よく知らないよ~、って人も多いみたいですしね。


 エルフの国の正式名称は、エルフ公用語で『ニーモス・ターサヴェルティ』。

 私たちの言語だと、『永遠なる妖精族たちの共和国エタニティ・エルフィン・リパブリック』、通称『エルフの国』となっています。こっちの言葉に翻訳した人の中二力、マジハンパないですね。


 共和国ってくらいなので、エルフ族の中にもいくつかの種族や宗派があり、各自の代表が合議制で統治している国家になっています。

 だから、一口にエルフの国と言ってもエリアは広くて、色んなエルフさんがいます。西エルフ、東エルフ、ダークエルフくらいの違いは、なんとなーく私たち人間族にも浸透してますよね。


 で、私たちの住んでいる街で見かけるエルフさんは、ほとんどが西エルフ族由来の混血です。

 人間やその他の種族の血が入ったハーフエルフやクオーターエルフですね。ハーフエルフでも、街で見かけるのは実際かなり珍しいですけど。

 ちなみにエルフポップユニット・カシュウナッツの御三方は、クオーターエルフです。ライブのMCで「あたしら、1/4エルフじゃけえ。最初エルフって言ってもなかなか信じてもらえんかったんよ?」って、下積み時代の話をしてくれるの、西エルフ訛りもあいまって超かわいい~!!


 おっと、話を戻しますね。

 エルフ国には保守的な純血主義(東派)と進歩的な混血主義(西派)が存在し、純血主義(東派)はエルフの国から出ることはほとんどありません。そういう背景から、私たちが純血エルフさんに会うことはほとんどないんですね。

 純血エルフさんに会うには、エルフの国でも特に他種族が立ち入ることが難しい東地方に行く必要があります。

 でも、そこまでいくにはレアアイテムや魔導契約が必要で、入国審査がハチャメチャに厳しい。人間種族と友好関係にある亜人種族国家の中では、おそらく世界一厳しいです。

 加えて、基本的に他種族は女性しか入れません。エルフの国は女性が多いので、他種族の男性から外の血が混じることを避けているんですね。


 私、ナターシャがなんでそんなレアな国にお邪魔できたのか?

 実は、勇者パーティが冒険の途中で、エルフの国と極東民族の紛争に首つっこんじゃって、最終的に和睦に一役買ったからなんです(その辺の話は長くなるので、またいつかしますね)。

 そのお礼として、純血エルフさんの住む“エルフ国・東地方”に招かれたというわけなんです。


 ……よし、お勉強タイムここまで!

 あー、がんばった! ほぼエルフwikiからのコピペだけども!


 なんかね、前回の記事を書いた後に編集者さんから聞いた話によると、こういうエルフさんの歴史や背景を知っているかいないかは、エルフ女子のファッションをする上でも重要らしいですよ?

「東の純血エルフ系清楚スタイル」とか、「ダークエルフ風小悪魔メイク」とかあるあらしくて。

 ガチ勢になればなるほど、「そういう歴史背景も分からずエルフファッションしてるの、美意識的にマジ許せない」みたいな意識高い系エルフ女子になるらしいんです。“意識高い系エルフ女子”とか、絶対関わりたくないですね……オタサーの姫感しゅごい。


 さてさて。

 改めまして、エルフの国潜入レポートなんですが、まず入国したメンバーをご紹介しておきましょう。


・勇者ユキムラ(バカ)

・踊り子リセリア(美人でドS)

・魔法使いユリシーズ(百合でドM)

・僧侶ナターシャ(ゆとり)

 以上4名。


 賢者ウィジェット(ロリコンでクズ)と商人アイザック(デブでゲス)は、前述したように基本的に他種族男性は入国禁止なのと、「性犯罪を起こしかねない」という理由から連れて行きませんでした。

 ユキムラくんも男ですが、エルフさん側から「国を救っていただいた勇者さんをお招きしないわけには……」と言われたので、私たちの監視……もとい付き添いの元、入国することに。

 戦士セス(ショタコン)は、ウィジェットくんとアイザックさんがおとなしく待っているかのお目付け役で居残り組。

 セス本人も「少年エルフも興味はありますが、美少年過ぎてもちょっと違うんですよね。私、ほどよい世間ずれがないとそそらなくて」って言ってました。世界有数の秘境エリア潜入を断る理由、歪みねえな。


 逆にテンションブチ上げだったのが、ユリシーですね。

 あの人、「美しい女性が大好き!」という百合属性を持っている上に、中二属性と乙女属性も持ち合わせていて、エルフの国は本当に幼い頃から憧れていたみたいなんです。

 東エルフ地域にお招きいただけると決まった時は、真っ先に手を挙げて叫んでましたね。

「行く行くイクイク! お願いっ、行かせてっ、イカせてくださいぃぃぃっ!!!」って。

 なんなの? お前は快楽堕ち寸前なの?


 実際入国した時も、ユリシーはエルフの国に足を踏み入れてすぐ、

「……キマシタワー」

 とぼそっとつぶやいて、鼻血垂らして気を失いましたからね。漫画っぽく鼻血噴くとかじゃなく、リアルに一筋垂らして気を失う辺り、マジ引くわぁ、と思いました。


 前振りが長くなっちゃったけど、エルフの国や入国の経緯については分かってもらえたかな?

 次回は『エルフの国~潜入編』、お楽しみに!


 じゃあまた来週! ナターシャでした!

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