第6回 ナターシャと職業選択の自由
あなたのハートにステータス異常!
毒・マヒ・呪いはお手の物、人生いつでも混乱状態ナターシャです!
みなさんはどうですか?
人生に混乱してませんか? 世間に毒づいてませんか? 忙しくって感情がマヒしてませんか? 誰かのことを呪ったりしてませんか?
そういったステータス異常を治す便利な魔法はないので気を付けてくださいね!
さて、大なり小なり誰でも生きていれば悩みがあると思うのですが、その代表格のひとつが『仕事の悩み』ではないかと思います。
というわけで、今回はお仕事について語ってみたいと思います。
私は冒険者という職業を選び、何の因果かうっかり魔王まで倒しちゃったんですけど、最初から「魔王を倒す偉大な冒険者になろう!」なんてことは考えていませんでした。そこまでいくと夢っていうより誇大妄想ですしね。
そもそも幼い頃から冒険者になりたかったというわけでもないんです。
じゃあ子どもの頃にどんな夢を持っていたかというと、ちょっと恥ずかしんですけど……実は、「どうぐやさん」でした。
あ! ちょっと今笑った人、攻撃魔法ぶっぱなしますよ!?
ほら、『fan-fan』読者の方なら分かってくれると思うんですけど、女の子にとって「お嫁さん」「ケーキ屋さん」「花屋さん」と並ぶ人気職業じゃないですか。
ヘタな下ネタより余裕で恥ずかしい話なんですが、『きずぐすり』や『どくけし』、『ランタン』、『魔術の込められた巻物』なんかを並べて、可愛いアクセサリー系のお役立ちグッズも趣味で置いたりしてね。そんで、デザインはシックだけどワンポイントでお花とか付いたエプロン着て。
「いらっしゃいませ~☆ ナターシャのどうぐやにようこそ♪」つってね!
で、行商の旅で鍛えたあごひげの似合う精悍なイケメンが旦那さまで!!(爆)
ほら、童話の『オオカミさんと香辛料』みたいな、ね?
ぶっちゃけ超憧れてたんですよ!! 「わっち」って言いたかったの!!
なんで今回こんな話をしているかと言うと、よく考えたら平和になったんだから、別に今から道具屋やってもいいんだよなあ、とこないだふと思ったからなのです。
いや、なんでホント雑誌でコラム書いてんでしょうね?
幼い頃は「わっちのゆめはどうぐやさん!」と言っていた可愛いロリーシャちゃんだったんですが、成長するにつれて「でも数字とか経済とか、壊滅的に苦手だしなー」とヘタレーシャなサボリーシャになってしまい、まだ比較的得意だった魔導系の進路を選んだ結果、流されるまま僧侶になったんです。
なので、この連載を読んでいる方は薄々お気付きかと思いますが、私、信仰心まったくございません。ビジネス僧侶です。
で、僧侶には教会に仕える神官職と、実戦で戦闘に参加する冒険職があるんですね。
だいたいみんな安全かつ安定している神官職を選ぶんですけど、その分倍率も高いんです。加えて、神官職は“世界僧侶協議会”っていう、「アンデッドかな?」って思うくらいに性根が腐ってて、口臭もきっついおっさんたちのコネコネズブズブの世界でして。
私も神官職狙いで研修受けたんですけど、その時に世界僧侶協議会の偉い人におしりをさわられたんですよ。
今でもよく覚えてるんですけど、あっきらかにヅラのおっさんに「君の魔力を計測中~」って言われながら。
それがあまりに腹立って、「神は我々の頭上にあらせられます」ってその
そんな私ですが、冒険者になったおかげで勇者ユキムラくんたちと出会い、最終的に魔王を倒したわけですから、天のお導きだったんだろうな、アーメン☆ って思います。ビジネス僧侶ですけど。
あの時ヅラを吹き飛ばした結果、魔王を倒す冒険者になるなんて、「人間万事塞翁がヅラ」「禍福はあざなえるヅラの如し」とはよく言ったものですね。
とは言え、みんながみんな、ヅラふっ飛ばした挙句就職がポシャって冒険の旅に出ているわけではなく、ちゃんとした動機がある人がほとんどです。
あくまで私の主観ですが、冒険者になる人は以下の5パターンに分けられるかと思います。
①才能型
元々腕っぷしが強い、魔力が高いなど、才能を認められて冒険者になるタイプ。
「子どもながら村を襲ったゴブリンを追い払ったことがある」「魔法学校の首席だった」みたいな人たちですね。あと、「騎士になるべく育てられたけど、レールから外れ冒険者に転身した」みたいな家柄タイプもここに含まれます。
自分の力を世に知らしめたいという自己顕示欲が強く、その自信から「魔王を倒して世界を救う!」とか最も言いがちなタイプですね。プライド高くて付き合いにくい人が多いです。
勇者パーティだと、魔法使いユリシーズが才能型、戦士セスが家柄型。でも、二人とも謙虚で親しみやすい性格です。
②一攫千金型
「冒険者で一発当てれば金になる!」が動機のタイプ。
全員ではないものの、平気で汚いこともやる人が多いですね。「魔王を倒して世界を救う!」と絶対言わない人たち。お金のためなら危険なクエストにも挑戦しがちですが、引き際をわきまえているので生存率も高い。しぶとくたくましい人が多いです。
勇者パーティだと、商人アイザックさんがこのタイプ。彼はド汚いことも平気でやるので、アイザック商会の株を持ってる人は注意しましょう。
③怨恨型
家族をモンスターに殺された、村を焼き払われた、大切な人の敵討ち……などヘビーな理由から冒険者になるタイプ。
めちゃ暗くて真面目な人か、過去を隠すためにやたら明るく振る舞っているけど実は……な人に別れる傾向があります。そして、宿願を達成した後も冒険者を続ける人がほとんど。悲しい話ですが、帰る場所がないという人たちでもあるからです。
勇者パーティだと、踊り子リセリアちゃんが実はこのタイプ。
④ろくでなし型
フリーターやニートがチンピラ冒険者まで堕ちてきたというタイプ。まあ、社会の底辺、吹き溜まりですね。
勇者パーティだと、勇者ユキムラくんと賢者ウィジェットくんが完全にコレ。ちなみにウィジェットくんは遊び人から裏口で賢者に転職したクチです。
⑤ゆとり型
なんとなーくで冒険者になってしまったゆとりちゃんタイプ。④に似てますが、良くも悪くも④に比べると凡人。実際、ユキムラくんとウィジェットくんは人間としてはクズですけど、冒険者としては類まれな才能があった天才タイプでしたからね。
ぼーっとしてるのでクエストでうっかり死にやすく、パーティのお荷物であることが多いのもゆとり型の特徴。
勇者パーティだと、僧侶ナターシャがこのタイプです。ごめんなさい。
冒険後の身の振り方にもこのあたりの特徴が出ていて、セスは騎士団の指導、ユリシーズとリセリアちゃんはいまだに第一線に身を置く冒険者(魔王は倒しても、世界には謎もトラブルもまだまだいっぱいです)。
アイザックさんは大企業となったアイザック商会の会長、ウィジェット君は魔法学校の講師で、ユキムラ君はみなさん知っての通り、魔王を倒してから忽然と行方不明のまま。
私だけ、教会の仕事も某協議会と仲悪いせいで回ってこず、かと言って冒険を続ける気概もなく、何故か女性誌のコラムを書いているという……。ちょっとどうかと思うくらいのゆとりっぷりですね。
……今度、
じゃあまた来週! ナターシャでした!
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