第4回 ナターシャが語る勇者パーティ分裂の危機~その1

 あなたのハートに回復魔法! ダメな男に即死魔法!

 どうも、僧侶系魔法の中でもブラック寄りなのが得意なナターシャです! 一歩間違えたら死霊使いネクロマンサーになってた気がしないでもない。


 物騒なオープニングに、「ナターシャさん、どうしちゃったの?」と戸惑われている『fan-fan』読者さんもいらっしゃると思いますが、ご安心ください。これが平常運転です。


 はい、というわけで!


 今回は予告通り、勇者パーティ分裂の最大危機であった「砂漠の国の風俗事件」について語ろうと思います!

 予想以上に各方面から大変な圧力がかかってるらしんですが、まあ知ったこっちゃないです。『fan-fan』は言論弾圧に屈しない硬派な雑誌! キャッチコピーは“キューティ&デモクラシー!”


 では、話の流れをまとめておきましょうかね。3行で。


 世界を救う

 勇者が

 風俗で童貞喪失


 勇者さんをはじめとしたパーティ男性陣3名が、名目上はお風呂屋さん的な所でぱふぱふに準ずる(ぶっちゃけもっとハードコアな)サービスを堪能してレベルアップ(性的な意味で)したおかげで、その後しばらく宿屋代にすら事欠き、戦闘不能状態の仲間を抱きかかえながら自分も瀕死状態で過ごしたことは多分一生忘れないですね。ずっとステータス画面が血の色をしていた。


 ただでさえ貧乏暮らしを強いられ、少しのオシャレも許されず女性陣のストレスがたまっていたところにそんな事件が発覚したもんですから、さあ大変。

 パーティ内の空気は最悪で、分裂の危機となったのでした。


 今後一生奴らの弱味を握っておくべきだと考え、その時に開かれた緊急パーティ会議の様子を、私こっそり記録魔法で保存しておいたんです。今回はそれを元に書き起こしたSS形式でお届けしようと思います。

 登場人物は勇者パーティの7名(※内1名は戦闘不能状態)。知らない人もいると思うので、メンバーを書いておきますね。各々の性格は読んでもらえたら分かるはず。


 ユキムラ……男性・勇者

 ウィジェット……男性・賢者

 アイザック……男性・商人

 ナターシャ……女性・僧侶

 リセリア……女性・踊り子

 セス……女性・戦士

 ユリシーズ……女性・魔法使い


 じゃ、ここからSS形式です!



~~~~~


リセリア(踊り子・マジ女神)

「……で、誰が行こうって言い出したわけ?」


男性陣3名(正座)

「…………」


リセリア(怒れる女神)

「あのさ、黙ってても問題解決しないよね? この状況を作った張本人は誰かって聞いてんの。さっさと答えないと順番に暗殺用短刀アサシンダガーでその腐ったバナナを……!」


ユリシーズ(女魔法使い・気弱)

「リ、リセ、ちょっと、落ち着こう? ね?」


リセリア(メタ的にも有能)

「落ち着いてなんていられないよ! こいつらが……、こいつらが風俗でお金使ったせいで宿屋にも行けなくて、そのせいで前線で体を張っててくれた戦士のセスが戦闘不能になっちゃったんだよ!?」


ナターシャ(僧侶・ツッコミ)

「怒るのは分かるけど、誰に向かって説明してんの……?」


ウィジェット(賢者・クズ)

「あ、あの」


ナターシャ(ゴミを見るような目)

「ああー、やっぱりウィジェット君が首謀者なんですね」


ユリシーズ(変質者を見るような目)

「やっぱり!」


リセリア(汚物を見るような目)

「だと思った……!」


ウィジェット(ゴミ)

「違う! やっぱりって何ですか! いや、あの、僕は止めたんですが、“どうしても”とアイザックさんが聞かず、無理矢理」


アイザック(商人・デブ)

「おぉん!? ウィジェット、てめえ!!」


ウィジェット(仲間を売るクズ)

「僕と勇者はやめようと言ったんだよ! そう、むしろ僕らも被害者というか!」


アイザック(デブ・バツイチ)

「おい、ちょ、待てコラ! お前ノリノリで制服のロリを選んでたじゃねえかよ!!」


ウィジェット(ロリ賢者)

「あ、あなたなんて、“いつもの女王様お願いします”とか言ってたじゃないですか!」


ナターシャ(ドン引き)

「うわぁ……」


ユリシーズ(リアルな引き)

「………………ムリ」


アイザック(女王様の豚)

「黙れてめえ! おい、お前ら! ウィジェットはなあ、ロリコンの上にプレイ内容がえげつな」


ウィジェット(ロリコンでプレイ内容がえげつない)

沈黙魔法シャラァァップ!!!!!!」


アイザック(豚的にはご褒美じゃね?)

「んんーーーーーー!!!!!」


ユリシーズ(正論)

「あんな風に魔法を使わないでほしい」


ナターシャ(聖職者です)

「それよりえげつないプレイ内容が気になるんだけど……」


リセリア(多分ドS)

「私もそれちょっと気になるけど、その前に本題を聞こうか。

 ウィジェット、今から私たちの質問にすべて正直に答えて?

 嘘だと思った瞬間にアサシンダガーが飛ぶ。余計なことを言ってもアサシンダガーが飛ぶ。黙ってもアサシンダガーが飛ぶ。もちろん魔法を使う素振りを見せてもアサシンダガーが飛ぶ。あなたの股間に、ね?

 だから、真実だけを答えて。――分かったら話して。最初からね」


ウィジェット(えげつないロリ)

「わ、わかったっ! ぼ、僕と勇者とアイザックの3人で酒場に行ってたんだ。いや、あくまで僕は、今後の冒険におけるアジェンダとコンセンサスを詰めるつもりだったんだけど」



タアァァァァァン!!!!!



リセリア(踊り子だけど戦闘能力クッソ高いです)

「余計なことを言ってもアサシンダガーが飛ぶって言ったの聞いてた? ――次は当てる」


ウィジェット(意識高い系ww賢者ww)

「しゅっ、しゅいましぇぇん!!」


ユリシーズ(百合)

「…………(やだ、リセ、かっこいい///)」


ウィジェット(意識高いロリコン)

「と、とにかく、飲んでいる内にアイザックが色街に行きたいと言い出して……」


リセリア(アサシンじゃなく踊り子です)

「じゃあ、発端はアイザックで間違いない、と。嘘だと分かったらアサシンダガーが飛ぶ」


ウィジェット(意識高くてえげつないプレイを好むロリコン)

「嘘じゃない!! 勇者にも聞いてみてくれ!!」


ユキムラ(勇者・今までずっと半ベソで黙っていたヘタレ)

「う、うぅぅ……、嘘じゃ、ないッス」


リセリア(アサシンダガー)

「分かった……。ウィジェットとユキムラは最初そんなつもりは無かったのに、アイザックに無理矢理連れて行かれた、と」


ウィジェット(バカ)

「そうなんだよ!」


リセリア(賢い)

「じゃあ、次の質問。どうしてウィジェットはパーティの有り金を全部持って酒場に行ったの? 私たちが知らないへそくりまであったみたいだし、計画的な犯行に思えるんだけど、納得の行く回答を聞かせてもらえる? そうでなければ」


ナターシャ(言ってみたかった)

「アサシンダガーが飛ぶ」


ウィジェット(顔面蒼白のえげつないロリコン)

「あ……あ……、えっと……」


リセリア(美人でおっぱいおっきくて賢くて強くてアサシンダガーが飛ぶ)

「黙っていても……アサ」


ウィジェット(ロリコン)・ユキムラ(ヘタレ)

「ごめんなさいぃぃぃい!!!!!」


ユリシーズ(百合でM)

「…………(やだ、今日のリセ、ひときわ輝いててドキドキする……///)」


セス(女戦士・戦闘不能仮死状態中)

「…………(でばんがない。ただのしかばねのようだ)」


~~~~~



 なんとなく勇者パーティのみんなの性格を把握してもらえたかな? 「風俗事件編」は後半に続くよ!

 ではまた来週、ナターシャでした!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る