第3回 ナターシャとお金の話
あなたのハートに回復魔法!
どうも、連載が決まったので調子に乗って毎晩呑み歩いてたら、原稿料が入るのは来月だと判明して頭を抱えているナターシャです!
誰か、私のサイフに回復魔法ー!!
というわけで、連載第3回のテーマはみんな大好き「お金」です。
わぁい、お金! ナターシャ、お金だいすき!
私が世界を救っても全然裕福になれなかった話は前にも書きましたが、実は、冒険中も勇者パーティの家計ってかなり大変だったんです。
基本的に冒険者の収入源って、モンスター討伐を主としたクエスト達成の報酬なんですね。でも、だいたいにおいてモンスターに苦しめられている人々って生活が困窮しているので、あまり多額の報酬っていただけないんですよ。
こちらとしても、やっとモンスターの恐怖から解放されて「勇者さま、ありがとうございます!」「捕えられていた息子や娘たちが帰ってきました!」と言って泣いて頭を下げてくれている人たちにいきなり、
「そりゃ何よりでんな~。ほな、今回のアガリは10万イェーンちゅうことで。はよ出しや。ホラ、なにボーッとしとんの、ジャンプジャンプ」
とは言いにくいんですよね~。
1回、ノリで今のセリフを言ってみたら、村の老婆にゴミを見るような目つきで睨まれたことがあります。ホントね、どっちがモンスターか分かりませんよ。
とにかく、クエストの報酬というのは意外と身入りが少ないんです。ボランティアみたいなところがあると言うか……。まあ、そのボランティア活動でこちとら何度も死にかけたりしてるということを、「お助けください! 勇者さま!」と安直に口にする村人の方々には、今一度よく考えていただきたい。
そんなわけで、冒険中は貧乏生活がデフォでした。時には貴族や王族から多額の報酬をいただいたり、お城に泊めていただいたり良い目を見たこともありましたが、そんな幸運は本当に稀なケースで。
お金が入っても、優先されるのは武器や防具の強化、アイテム購入。それから、パーティ全員の宿泊代と食費の確保。
服や化粧品といった嗜好品にお金を使えるはずもなく……、女性メンバーは割とそのあたりがプチストレスになっていました。僧侶はもちろん、女戦士や踊り子、魔法使いだってやっぱりオシャレはしたいですからね。
オシャレと言えば、ファンの方も多いと思うんですけど、勇者パーティに踊り子のリセリアちゃんっていう女の子がいまして。
彼女、すっごい美人で性格も良くて、しかも攻撃力や魔力も高くて、女性としても冒険者としてもハイスペックでね。極め付けにおっぱいおっきくって。
まあホント、私なんか、冒険中に辛いことがあると同性という特権を濫用して彼女のおっぱいをふにふに揉ませてもらってたくらい、しかもそれをはにかみながら許してくれたくらい、リセリアちゃんはマジ女神だったんです。
でね、私ずっと「なぜ踊り子?」って疑問に思ってたんですよ。だって、彼女のスペックなら魔法戦士や賢者、なんなら
ある時それを聞いたらですね、返ってきたリセリアちゃんの答えが、
「こんなこと言ったら怒られると思うんだけど、せめて可愛い装備が付けられる職業でいたくって……」
だったんですよ!!!!!!
わたしゃ泣いたよ! いや、パーティ全女子があの時は泣いた!
みんな言葉にはしづらいけど、やっぱりそういう想いはあるんですよ。もちろん冒険者は命がけですから、しっかりした武器や防具を揃えないといけない。でも、やっぱりどこかで女の子らしい格好にも憧れてるんです。
リセリアちゃんが偉いのは、「自分はそういうワガママで踊り子職を選んだから」って言って、陰でレベル上げやスキル上げをめちゃめちゃ努力してたこと! 彼女が冒険者としてスペックが高かったのはそれが理由でもあったんです。ホンット、リセリアちゃんマジ女神じゃないですか?
……それにひきかえ、そんな健気なリセリアちゃんに『踊り子用ビキニアーマー』という、どうみてもただの紐を着せよう着せようとしてたパーティの男どもね!
まったく……、死ね! 下種が! 即死魔法で心臓止めてやろうか!? あなたのハートに即死魔法! だわ!
いや、私がいまだに怒っているのにはちゃんと理由があるんですよ。
パーティ女性陣が、リセリアちゃんの健気な女子らしさと努力の話を聞いて、滂沱の涙を流しながら、
「限られた装備でもオシャレしようね!」
「うん!!」
「パーティの家計、ちょっとずつ節約して、おっきな街に着いたらみんなで買い物行こうね!」
「うん!!」
「ちゃんと魔法防御力もあって、デザインも可愛い『金の髪飾り』、メンバーお揃いで買おうね!」
「うん! がんばってお金貯めよう!」
って、宿屋で誓い合っていた時に。
……そんな時にですよ!
パーティの男性陣は風俗行ってたんですよ!!!!!!
おひとり様4万イェーン! 3人で計12万イェーン!!!!! 『金の髪飾り』10個買えるわ!!!!!
何が「旅の疲れを癒すために……」だよ! 勇者が風俗で童貞捨ててんじゃねえよ! なんも勇ましくねえわ!
某クエスト達成した時、田舎貴族の娘から「お礼に私の純潔を……」って言われた時は緊張して逃げた癖に……ヘタレが!
あ、そうだウィジェット! 風俗事件以来、今に至るまで女性陣の間でお前のあだ名は“タイムさん(笑)”だからな? 賢者だけに!
この風俗事件は勇者パーティ分裂の最大危機だったわけですが、もうスペースが無いので詳細は次回。
じゃあまた来週! ナターシャでした!
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