第12話 横断歩道と三色団子
学童の帰り道、次男と手をつないで帰宅していると、横断歩道の前で次男がぽつりと呟いた。
「横断歩道と、三色団子って似てるよね」
はい?
よく意味が分からず、聞き返すと。
「僕ね、横断歩道って、なんとなく三色団子と響きが似てるからさ。ずっと、横断歩道のこと団子の一種だと思ってたんだ」
と告白された。
……え、じゃあ、もしかして。
私が、君が物心つく前から「横断歩道は気を付けて渡ろうね!」って何度も何度も言い続けてきたけど、そのたびに
(はい? なんで三色団子がここで出てくるの?)
って思ってたってこと???
恐る恐る、そう次男に問いただしてみると。
快活な笑顔で、「うん!」とうなずいた。
「わけがわからなかった!」
と。
ちょっと待て。横断歩道が、団子の一種じゃないことに気づいたのって、いったいいつなんだい?
「うーんと。去年くらい?」
………結構、最近だった。
小さいお子さんをお持ちの親御さん。
何か注意するときは、果たしてその日本語をその子が理解しているかよくよく確かめて注意しましょう。
そうしないと長い間、徒労を繰り返すことになります、私のように。
ちょっとあまりの徒労感に、滲んだ涙をそっと指で拭いました。
子どもの言語能力を甘く見すぎていた。
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