第24話脅迫

 わっちは牛さんの小屋で糞がゴロゴロ転がっているのを片付けると、丸い小さな三本足の椅子に座り、牛さんにいくよーっと言って、牛さんのお乳をもみもみして、白いのをピュピュさせていると牧場の入り口から大声が聞こえたので、牛さん待っててね、っと言うとヒラヒラと手をふったら牛さんはモウっと返事をした。

 「てめぇ、どの面さげてここに来た」

 カエルさんが小さい手を振り回しながら怒っている。

 その目の前にはわっちの姉、残酷で無慈悲な悪魔と名高いリアーネが仁王立ちにして幼い顔をにやにやさせていた。

 「猶予はきれた」

 リアーネは意地悪く、笑って、「小生は王を殺した、身辺を警護している兵も、騎士も、貴族もすべて小生の思うままに飼い慣らしててた、まったく人間という奴らは黄金を見せると、すぐに寝返ったは!」

 カエルさんもさんはぐぬぬと唸った。

 「だから、何だ? お前は勝手に王になってろ、俺達には関係ない」

 「あぁ? 覚えてないのか? 貴様をカエルにした時、戦争が始まるって、言ったであろう、だがなぁ、この牧場を手に入れられなかったから今や休戦状態じゃ、だがもう猶予はいらん、小生が、王になった今や隣国に攻めこむ、細工はりゅうりゅうってやつか? 戦争の準備は、万全じゃ勝てる戦争は行うそれが小生の、政治じゃ」

 リアーネはツインテールの髪をくるくる人差し指指でいじった。

 「だがのぅ、やはりこの村、この牧場が邪魔でのう、ぶっ壊しにきたんじゃ」

 カエルさんがなぁにぃっと怒りをあらわにしていると、リアーネはおっと人差し指をあげた、そして、わっちが隠れて見ている所に向き、「デュランダル、そこにいるのは分かっておる、お主が小生と手をくんで戦場で戦ってくれれば小生はこの牧場をこのままにしておくぞ、よい話じゃろ?」

 カエルさんがわっちの方に向くとわっちがその近くに歩いて行った。

 「エミ……」

 「わっちは、わっちは、もう人は殺さん」

 リアーネは下品な笑い声を発すると、

 「町の住人を皆殺しにした、お主が人はもう殺さんじゃと?」

 わっちは大きくうなづいた。

 「そうか、ではこうしよう」

 リアーネはカエルさんをつかむと、ガハハハっと笑うと、カエルさんの首を締め付けた。

 「このカエルが死んでもいいのか」

 ぐううっとカエルさんが唸ると、わっちは焦った。

 「エミ、俺にかまうな」

 わっちは黙って頷いた。

 リアーネはぱっとカエルさんをはなしにやにや笑った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る