第22話ガレス(3)

 リアーネはにたにた笑いながら私を見続けている。

 「さぁ、どうしようか? 生まれてきたのを後悔させるまで、拷問をくわえてやろうか? おっと、そのおなごの方にしようかのぅ」

 それを聞いた私と敵の兵がザッと女性を取り囲む。

 「なんじゃ、なんじゃ? お主らみなこの女性とまぐわりたいのかのぅ?」

 小さな女の子の割に(本当の年齢は知らないが)ゲスな事を言う奴。

 それに憤慨した兵達がリアーネに槍を向けて向かって行く! まて! 慌てるな!

 感情で行動してはならない。

 リアーネの隣にいた二人の騎士が剣を抜こうとすると、リアーネは右手をあげて二人を制した。

 「こやつらは小生が片付ける、くっくっくっこんなに人を殺せるのも久しぶりじゃ、ぞくぞくするのぅ」

 私はリアーネの快楽にみちた恐ろしい顔を見て寒気を感じた。

 そして、彼女は両手をあわせ、黒い玉を作った。

 「ブラック・ボール!!!!」

 リアーネはそう叫ぶと黒いそれは私の兵と敵の兵を消し去った、いや灰だけになっている、肉も骨も鎧まで灰と化している。

 「さぁ、次はお主の番じゃ」

 こちらを向いたリアーネはにやにや笑っている。

 「っと言いたい所だがどうじゃ、ガレスよ、小生と一緒にこの世界を手中におさめる気は無いか?」

 私は眉をよせた。

 「大戦争の時にお主は何人も人を殺してきたのぅ、無慈悲に家族があると言った敵の兵の言葉も無視して、殺しておったのぅ、その鎧をは血に染まり、敵と味方にも恐れられて血色の騎士と呼ばれておる。そのような人材が小生は欲しい、王の位にもつけてやるぞ」

 かつかつと私に近づいて来たリアーネはぐっと小さい背をしているので私を見上げた。

 赤い目がキラリと光り手をさしだす。

 「ブルーベリーの匂いがきついな、気に入ってるのか? その鼻につく匂い、臭いぞ」

 パシッとリアーネの手を叩くと、リアーネはぐぐぐと顔が血がのぼっていくのが分かる。

 「しょ、小生を愚弄するとは、万死に値する、殺してやる!」

 リアーネの手からあのブラックボールが放たれようとしたが私はそれよりも早く、エターナル・フォース・ブリザードを放った、くのじに体をまげリアーネはぶっ飛んだ、するとリアーネが立ち上がる前にあの味方も敵も介抱していた女性が近づいてきて、なんと魔法を使った、彼女は魔法が使えるのか?

 それにより死を覚悟した私は目をつむる。

 たったったっ、なんだ? 何かにつれられている見上げると私を殺したかと思っていた女性が私を運んで走っている、運んでいる?

 私は自分の手を見てみると指が無くふわふわの手があった、なっなんなんだ、落ち着いた森の中に隠れしゃがんで彼女はこう言った、「あなたを、テディベアにしました、あの方達は、気づいてません、あの女の子は気絶してるし騎士の二人はその子を見てあたふたしてましたから。だから、その姿ではあの人達には見つからないでしょう」

 私はびっくりした、テディベアになったので今は数歩離れた所にいる女性が大きく見える。

 「いくら礼をすればよいか」

 「礼などいりませぬ」

 その刹那、彼女はどっと地面に倒れた、誰かに斬られている。

 私は目を見張った、ウェイン!

 「ん? なんだ? テディベアか、それよりこの裏切り者の女を片付けた、次はガレスだ、あいつは絶対許さない裏切り者だ!」

 私はここにいるのがガレスだっと叫びたかったが声が出なかった、テディベアだからではない、ウェインとは戦いたくなかった。

 走り去っていくウェインを見て私は涙が出そうになった、しかしテディベアになった私には涙は出なかった。

 そして私はテディベアの格好のままその村の村長になった。

 「そんちょーう、たくさんとうもろこしが出来たのでおすそわけに来ました」

 いつも元気なエミと姿を変えられた人間のカエルが私の所に来た。

 私は彼女達にお茶を用意した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る