第18話死闘
「準備はよいか? カエルさん」
「バッチリよ」
カエルさんの横にはチャプチャの実が大量に置かれている。
チャプチャの実は乾燥させると岩の様に固くなる実だ。
この日の為につみ乾燥させて用意していた。
カエルさんとわっちの右手にはパチンコが握られている。
わっちは握る所が赤いのがいいと言ったのだがカエルさんも赤がいいっと言って聞かなかったのでじゃんけんで決めてわっちは青のパチンコになった。
しかし、その青い握り棒は汗びっしょりだった、緊張している、乾燥した唇を舌でペロリと舐めた。
この後、死闘が繰り広げられるであろう、さわさわと木の葉っぱが大風により揺れた、わっちの髪の毛が風になびく。
「上から来るぞ気を付けろ!!」
カエルさんがそう叫ぶと全身真っ黒けで、大きな嘴、ありとあらゆる物を食いつづける、堕天使のような翼を持っているカラスが急降下して畑に舞い降りて来た、最近、わっちの育てた野菜に味をしめたのか毎日やって来て畑をあらしにあらし(どっかのアイドルの様じゃが)今日も朝にやって来たのだ。
ぐるぐる空を滑空しなが降りてくる。
目をぐるぐるさせる作戦じゃ!
そして、パチンコの弾を当てにくくさせる事も視野に入れておるのか?
カエルさんはチャプチャの実をパチンコにセットすると(チャプチャの実は尖っている所もあるので気をつけて触らなければならない)
ヒュンヒュンとパチンコでカラスを狙ったが、やはりわっちのライバル、カラスはヒラリヒラリといちいちかわしていった。
バッサバッサっと漆黒の翼を折り畳み、大きな嘴でバシンっと大切なスイカを割ってジュワっとフルーティーな香りが辺りを漂わせる。
「うぬ、おのれ、わっちが大切に育てたスイカをフルーティーな香りを充満させるとは」
わっちは狙いを定めてカラスにチャプチャの実をパチンコを引き延ばし発射させた。
しかし、カラスはその実を嘴で受け止めるとなんと豪速球でこちらに向かって飛ばして来た!
「イッデー」
運悪くカエルさんのお腹に直撃した。
尖ってる所じゃなかったのが不幸中の幸いだったが、ついにあいつはわっち達を殺しにかかっている。
負傷者が出た、戦いは長引かせると不利だ、お腹も減るしチャプチャの実も数が限られている。
それにカラスはチャプチャを跳ね返す。
★
次の日、わっちは昨日徹夜で作ったカカシを作り、カエルさんはお腹に絆創膏をしている、命に別状ないがまだ動けない。
するとカラスはカカシの手の所に当たる棒に止まってその黒い体を左右に揺らしながらダンスを踊っていた。
完敗じゃ、わっちは白旗を持って、カラスとお話した。
「毎日収穫物を置いておくから畑を荒らさないでおくれ」
カラスはカァーカァーと鳴いた。
「えっ? 3つ欲しい? どうしてじゃ?」
カァーカァー
「おぉ子供がいるから3つ欲しい? わかった」
その次の日カラスは子供を連れてきたみんな大きい。
親離れ出来ない子じゃったか。こりゃ一本取られた。
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