第15話収穫祭

 いよいよ収穫祭、わっちの育てたカボチャさんが大活躍する事が予想される。

 村の広場にはたくさんの人が集まってガヤガヤ騒いでおる。他の村からの人もいるようじゃ。

 他の村々のカボチャマエストロ達が来ていた。

 この人達に審査してもらう、この村にはマエストロはいないので村長さんが審査するらしい。

 その前にまだ審査の時間ではないのでたくさんの出店を楽しんだ

 パンプキンスープ、カボチャパイなどが並んでいて、カエルさんが「うめぇ、うめぇ」

っと言って食べていた。あれからカエルさんは何かとカボチャを食べるようになった。

 お次は男女がペアになって踊るダンスショーが始まった。

 音楽隊の人達が『ブンチャッチャ』っと音楽を奏で始めた。

 この村と他の村の出会いのイベントらしい。

 女性達がアニグスさん争奪戦を繰り広げる中、わっちに誰かが声をかけてきた、見たこともない人だ。

 スラリと背が高くなぜか男なのにペンダントしていた。キンキラの奴。

 「ハロー」

 その人がそう言ったので頭がハテナでいっぱいじゃ! 『ハルオ』ってだれじゃ?

 その人はひざまづき手を差し出した。

 「一緒に踊りませんか? マドマゼル」

 マドマゼルってなんじゃろう、カボチャのお菓子の事かのぅ?

 すると後ろから誰かが忍びよる気配がした。

 ぐいっと手を捕まれる。

 振り向くとエレイスさんじゃった。

 カエルさんはこの女の子を百合っこっと呼んでいる、これにはわっちも言いえて妙なりっと思ったもんじゃ。

 エレイスさんはカエルさんの言うように百合のように綺麗じゃからのう。

 「一緒に踊りませんか?」っとエレイスさんが言ったので踊る事にした。

 残されたさっきの人は寂しくひざまづいていてポカンと口を開けていた。

 ダンスが終わるとおまちかねのカボチャ審査じゃ。

 わっちは巨大なカボチャ、わっちが育てたカボチャの前に立つと隣にあのダンスを申し込んできた男の人が立っていた。

 この人もカボチャを出品したらしい。

 「やぁ、ベイビー」

 なんじゃと?! 誰が赤ちゃんじゃ!

 これは宣戦布告って奴じゃな!!

 ムッーっとほっぺを膨らませていると、他の村のカボチャマエストロと村長さんがみんなのカボチャを審査している。

 審査が終わるとマエストロ達が相談してついに結果発表が行われる。

 「カボチャ審査会、第3位は……」

 ドゥルルルルと音楽隊の人が盛り上げる。

 「ペマ村のポンさん」

 パチパチと拍手がなり、三つ編みをした赤毛のポンさんという女性がにっこり笑った。

 「そして第2位……」

 ドゥルルルル

 「ラーミ村のエミさん!」

 ワァーっとみんなの拍手を浴びたがわっちはやはり1位がよかったのぅ。

 残り2人、誰じゃろう?

 「はやる第1位は……」

 ドゥルルルル

 「ムンソール村のロッケンマイヤーさん!」

 わっちに宣戦布告をした男の人が優勝した。

 悔しいのぅ。

 お祭りが終わり、カエルさんとエレイスさんとで小さな木のカップに入ったカボチャプリンを食べながら帰っているとロッケンマイヤーという人が1位の人に送られるパンプキーバッジを手にこちらにやってきた。

 「マドマゼル、このバッジを君にあげよう君がこのバッジをつけるのにふさわしい人間だ、何故なら君は僕の太陽だからさ」

 ロッケンマイヤーのごつい手に光るパンプキーバッジをはたき落としわっちは叫んだ。

 「これは、カボチャプリンじゃ! マドマゼルじゃない、それにわっちは赤ちゃんじゃないぞ、わっちも宣戦布告じゃ!」

 プンプン怒ってわっちはカエルさんとエレイスさんと一緒に帰った。

 エレイスさんもカエルさんもロッケンマイヤーさんを見てニヤニヤ笑っていた。


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