第12話新しいテーブル

 夕焼け空になり、カラスも帰り始めた頃、わっちはたくさんのポテトサラダを作った。(わっちの畑で取れた新鮮でピチピチなじゃがいもをようけ使っておる)カエルさんがスタンバイしてテーブルの上に座っている。

 ドンっとボウルにいっぱいのポテトサラダをテーブルに置くとテーブルの脚が一つ折れて、ポテトサラダ、その他諸々が(例えばカエルさんなど)ガシャンと大きな音をたてて崩れた。

 「大丈夫?」

 わっちがそう言うと、カエルさんはポテトサラダの中から顔を覗かせた。

 「あぁ、なんとか大丈夫だ」

 ポテトサラダをすくいあげわっちは言った。

 「ポテトサラダ、大丈夫?」

 カエルさんはこけた。

 「俺よりポテトサラダかよ」

 明日家具屋さんに見てもらおうと提案すると、カエルさんが不満そうな顔をして言った。

 「あの、色男の所か?」

 わっちは、色男という言葉は知らなかったがきっと褒め言葉じゃろう。

 「アニグスさんの事じゃの?」

 カエルさんはいがいそうな表情をした。

 「よく分かったな」

 わっちはウフフと笑ってカエルさんに言った。

 「カエルさん、優しいね」

 カエルさんは戸惑った表情になって言った。

 「話が噛み合ってないな」

 わっちはあれ?っと首をかしげた。

 「お話もなにか噛むの?」

 カエルさんはわっちを無視してこぼれたポテトサラダをパクパク食べ始める。

 次の日、わざわざ、わっちの牧場にアニグスさんが爽やかなオーラを漂わせてやってきた。

 「うーん、根元の所が腐ってるね」わっちは頭をポリポリ掻いた。

 「長年使ってきたからのぅ」

 「新しいテーブルを買った方がよさそうだね、壊れた脚を直してもすぐ別な所が壊れちゃうかもしれないし」

 わっちはそうですか、っと言って新しいテーブルを頼んだ。

 「でも、持って来るのが大変そうじゃのぅ」

 アニグスさんはキラキラ笑顔をわっちに向けた。

 「私が運んで来ますよ」

 これは、女の子達がやられてしまうのも無理ないのぅ。

 ★

 「目がハートになってたぞ」

 アニグスさんが帰った後カエルさんがそう言ったのでわっちはカエルさんを見た

 「えっ? そうじゃったのか? 鏡で見たかったのぅ」

 カエルさんはふんと鼻をならした。

 「お前も顔がいいのが好みか?」

 え?

 「カエルになった男にはどうも思ってないか」

 カエルさんはよく分からない事を言ったけどさみしそうじゃ。

 新しいテーブルが来たらポテトサラダを作ってあげよう。

 

 

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